何年かぶりの再読。手元の祥伝社ノン・ポシェット版の奥付は平成4年。元々は神と天皇家の中間に位置し、世が乱れ、天皇家が危機に瀕した時にのみ特殊能力を持って天皇家を守って来たヒ一族。ヒは日とも卑とも謂われ、歴史の裏側でその特殊能力によって時の政権を支えてきた。戦国末期、幕末、終戦間際。ヒの末裔が戦乱を収めようと躍起になって活躍するが、気がつくと人間の欲望にまみれ、血はだんだん薄れる運命にあった。半村良伝奇小説の傑作小説。「生あるものが、生あるものを喰らって生きる事は穢れである」とおう、後に「妖星伝」でメインテーマになる着想はもうこの時点で用意されていたのですね。そして戦乱に巻き込まれる庶民の姿。特に東京大空襲から戦後数年までを描くところはもうすばらしい。ここは後に「晴れた空」として集大成していくのですね。
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- 感想投稿日 : 2011年8月16日
- 読了日 : 2011年8月16日
- 本棚登録日 : 2011年8月16日
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