上巻の後半からは、先が気になり一気読みだった。奥田さんの作品は、何だかいつもそうなってしまう気がする。安易なハッピーエンドや最悪な結果の回避は、奥田さんの小説にはないのだろうと思いつつ(と偉そうに書くほど奥田さんフリークでもないのだが、何作か読んだ印象として)
それでも読み進めるのを辞められない。
この作品は【邪魔】なので、おそらく物語を通して、誰かが誰かにとって、ある組織にとってある組織が【邪魔】だと言うことがテーマになっているのだとは思うのだが、
私は、途中からずっと”正義””正しいこと”とは何だろう、と思いながら読んでいた。
もちろん、及川(夫・茂則)がしたことには、同情の余地もないのだが、それなら、警察は正義なのだろうか。捜査本部内でのメンツや権力争いは、正しさを求めるが故ではないだろう。会社も正しさを求めるのなら、隠蔽することではなく、及川のことも、これまでしてきた社内の不正についても罪を追求するべきなのに。桜桃会の活動もそうだ。一見、正義を追求し社会の弱者を救済する活動のように見えて、もはや何を目指しているのか。スーパーの社長の言う、スーパーを続けることでの地域への貢献とか、従業員の生活についても、一理あると思ってしまうし(企業が本当は従業員の権利や生活なんて重視していないと言うことは分かった上でも)。
企業にしても警察にしても、社会や地域への貢献を目指しているはずで、それは社会を構成する我々市民への貢献になるはずなのに、必ずしもそうではないと思うと脱力してしまう。
恭子も本当に子供を思うなら罪に気付かぬふりをしたり、ましてや自分の罪で隠すべきではなかったはずなのに。正義はどこにあるのだろう、、、正しいってなんなのだろう、、、
恭子はどうしているのだろう。北陸にでも逃げたのだろうか。
子供たちはどうなるのだろう。本城を離れてほとぼりが冷めたら、何とか平穏に生きていけるだろうか。
頭を抱えたくなる気持ちのまま、エンディングを迎えてしまったな。
- 感想投稿日 : 2022年2月10日
- 読了日 : 2022年2月10日
- 本棚登録日 : 2022年1月31日
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