戦前・戦中・戦後を背景に、千倉磊吉家に仕える「女中」たちの顛末をユーモアたっぷりに描く人間模様小説。
「初」「梅」「駒」「定」「小夜」「百合」「鈴」「銀」・・・エトセトラとこれでもかという具合に「女中」たちが登場し、それぞれのエピソードが面白く細やかに綴られるものだから、賑々しいことこの上ない。週刊誌での連載ものだったせいか、最初はユーモアな描写が主だったのが、次第に谷崎的エロスの世界が垣間見えるようになり、恋愛模様の描写も増えていくところは興味深い。(笑)これほど多数の「女中」を家に入れ、ある意味、育てあげる態度は、谷崎自身の男の性(さが)の顕れであるか。
ラストの大団円はとても微笑ましい。
終始、細やかでどこかユーモアを保持し続ける書きっぷりが楽しかった。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
小説など
- 感想投稿日 : 2012年1月15日
- 読了日 : 2012年1月15日
- 本棚登録日 : 2011年10月22日
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