虚航船団 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社 (1992年8月28日発売)
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本棚登録 : 1274
感想 : 77
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【1章】文房具が、自らの使用用途(ひとつの役割)に拘るあまり、おかしくなってゆく…僕らと同じね。【2章】鼬の文明史。自前の毛皮があるため毛織物業が発展せず、産業革命が興らないという設定は巧い!【3章】物語のラスト。コンパスイタチは「これから夢を見る」という。彼は、戦争描写で埋め尽くされ、閉じられてゆく物語の中で、自分の内側にあらたな虚構(夢)を建立しようとしている。完全にあきらめられた世界の中で見る夢は、明るい未来か?SF的な危険予知夢か?世界を虚構化(解釈して認識)し、切り開いてゆく営みは、この先もまだまだ続く。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 筒井康隆
感想投稿日 : 2014年5月19日
読了日 : 2014年5月19日
本棚登録日 : 2014年5月19日

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