竜馬がゆく (新装版) 文庫 全8巻 完結セット (文春文庫)

著者 :
  • 文藝春秋 (2012年3月13日発売)
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感想 : 146
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圧巻だった。
世界という大局的立場からモノを考え、日本を救うために東奔西走する龍馬の姿には、誰もが心打たれることと思う。

一番印象に残ったのが、大政奉還が龍馬の想像の産物なのではなく、勝海舟からの受け売りであること。
そもそも龍馬には学識がなく、数々と繰り出す奇手奇策の殆どが、他人から聞いた知識に基づくものであるである。龍馬が、ゼロから考えだした訳ではない。
しかし、それこそが龍馬の凄さ。
あらゆる事象について労を厭わず自分の目で確かめ、数多くの人と交遊したことにより、自分の引き出しを増やしていく。
龍馬が、様々なものに対する並外れた好奇心と、あらゆる人を受け入れる度量の広さの持ち主だからこそ出来たのだと思う。

続いて感心したのが、龍馬が何か行動を起こすとき、慎重にタイミングを見極めていたこと。
時勢を良く見極め、絶対に成功すると確信するまでは行動を起こさない。
この本を読んでいる最中に、小池百合子率いる希望の党が衆院選で大敗したが、龍馬なら、自民に勝てるか否かが不透明なタイミングで勝負に出ることはなかっただろうなと感じた。

龍馬以外に面白かったのが、後藤象二郎と英国人パークスとのやり取り。
プライドを持って堂々としている人は、誰からも舐められないんだなぁと感じた。

坂の上の雲と同様に、何度も読み返したい名著。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 歴史小説
感想投稿日 : 2017年11月19日
読了日 : 2017年11月19日
本棚登録日 : 2017年11月8日

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