世界のエリートがIQ・学歴よりも重視! 「レジリエンス」の鍛え方

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  • 実業之日本社 (2014年2月28日発売)
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新時代の基礎体力トレーニング。

レジリエンス=再起力。
辛い出来事があった時などに精神的な落ち込みから起き上がる力。

再起しなくてもいいように躱したり流したりできればいいけど、現実はそう簡単じゃないし、たまにはへこたれないと成長もできない。
かといって成長できるちょうどいいレベルのプレッシャーを見計らうのは難しいし気付かぬうちに押し潰されそうになるかもしれないから、落ち込んだ時に前を向く力を手に入れよう。
そしたら落ち込みへの耐性も成長も手に入れられる。

再起力の強化には、①落ち込みを底打ちする力と②そこから這い上がる力が必要。

まずは①落ち込みを底打ちする力。
この本には、「自分にとって問題となる出来事は、思い込みという色眼鏡を通して感情を生み出す原因となる」と書いてある。
つまり、自分の感情と実際の出来事の間には思い込みがあるということ。
怒りは権利の侵害という思い込みが元となり、不安は将来の脅威という思い込みが元になる。
思い込みが感情を引き起こす。
行列に横入りされた=腹が立つ、ではなく、行列に横入りされた⇒人が並んでいるところに横入りするべきではないという思い込み⇒思い込みに反したから腹が立つ、ということなのだ。
だからそれを理解して一歩引いて考えればいちいち感情に踊らされないし、ズブズブ落ち込まずに落ち込みが底打ちされる。
落ち込まないようにと気張るのではなくて落ち込んでもよくて、だけど少しでも早くその落ち込みを止めることができれば再起する体力も失うものも最小限にできるのだなと温もりのある指導に納得。

さらに②底打ちされた状態から立ち直るために必要になってくるのが自己効力感(=レジリエンス・マッスル)。
よく聞く自己肯定感とは似て非なるもので、自分ならできると信じる力。これが高いと意識が前を向いて立ち直りやすい。
ちなみに自己肯定感はできてもできなくても自分を受け入れる力。

そんな自己効力感を高めるためには、小さな成功体験を積み重ねたり、ロールモデルとする人を決めて同じように行動したりする方法が有効。そして何よりどんどん強みを活かすこと。

そんな自己効力感を高める教育が欧米では小さい頃から進んでいるらしく、日本でも定着すればいいなと素直に思う。日本人は(という括り方はあんまり好きではないけど)真面目だし横並び意識が強いから、ひとたびそこから外れたり失敗したりすると、瞬く間に自信を失ってしまう。
そんな時、自己効力感を高められる方法を知っていたら生きやすくなるんじゃないかな。それこそメンタルの強化は予防医療の話にも発展してきて、ひいては社会保障問題にも貢献してくるんじゃないかななんて思ったりする。(大袈裟)

自分も社会人3年目でメンタルを壊して休職を経験した身としてレジリエンスの大切さは人一倍痛感しているし、一刻も早く世のみんながこの大切さに気付いて欲しいと思う。
壊してからじゃもう取り戻せないし、手遅れになって、失って初めて気付く。自分との対話と自己認識の大切さに。

この本はネガティブな感情を否定しない。
ネガティブ感情が生まれることも人間としてあっていいこと、だけどそれに自分自身が蝕まれては勿体無い。

人と自分の分離、出来事と感情の分離、自分の声、自分自身、大切にしていこう。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2022年4月3日
読了日 : 2022年4月3日
本棚登録日 : 2022年3月29日

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