僕僕先生 零 (新潮文庫nex)

著者 :
  • 新潮社 (2014年12月22日発売)
3.23
  • (6)
  • (24)
  • (54)
  • (12)
  • (1)
本棚登録 : 312
感想 : 47
3

★全てはご飯の後さ(p.317)

 僕僕が王弁に語る過去。炎帝の命で人の姿をとらされ極端に弱体化した拠比と彼の腹を満たすことを使命として産み出された弱い神仙の僕僕はエネルギー不足解消のためエネルギー源の欠片をさがす使命を与えられた。スフィアを探すアサキムみたいなもんかな。黄帝の不穏な動きのなか、とりあえずもの探しの神仙、導尤を探す。なんのストレスもなく読みやすかったです。

▼僕僕先生についての簡単なメモ(本編含む。気まぐれに累積。あとから記述したのも多いので読みを間違えてるかもしれません)

【阿難陀/あなんだ】天竺から来た仏教の偉い人。
【霰】雷神の国の後宮を守っている者の頭。子どもの頃のバンは遊んでもらっていた。
【祈り】人間の祈りの力が神仙の力になる。
【員/いん】神仙。太陽の少年。三聖が最初に創り出した存在。ギリシャ神話のアポロンの役割。
【引飛虎/いんひこ】苗(ミャオ)人の双子の片割れ。ある事件で僕僕たちと知り合い、その後再会する。
【炎帝】神農のこと。三聖のひとり。万物を生み出した神仙。ほぼ毛玉でその毛一本一本がなにかを創り出すの実験をしている。神仙は食事はしないでもかまわないが炎帝は食事を好む。
【王達】父を黒卵に殺された。
【王弁】僕僕とともに主人公。僕僕先生に惚れて仙骨もないのに自分も仙人になりたい。僕僕にからかわれる毎日。なにかにつれ、動揺している。そのついでに薬師の腕も上がってきたので先生のいないところではそれなりの薬師。「通真先生」とも呼ばれる。最近は喇叭を吹くのが得意になりつつある。薄妃にとって《これまでに見たことのないほどに魅力のない青年》『神仙の告白』p.43
【王方平】神仙。『神仙の告白』のメインキャラかもね。
【過去】《過ぎたことはもう戻らない。そしてすぎたことを話す者が話したいようなことしか、表には出て来ないんだ》零p.12
【賈震/かしん】とあるカップルの男。死にかけている。
【華陀】医療の神。かつて僕僕の弟子だった。関羽を神仙に近い存在にした。
【火蛇/かだ】黄帝のとこにいる? 蓬莱を一瞬で横断できる。
【化蛇/かだ】黄帝のとこにいる? 蓬莱を一瞬で横断できる。
【関羽】あの関羽。昇仙したわけではないが仙骨を持っており今では神仙に近い存在になっている。
【韓娥/かんが】ある街に出没する歌姫。その歌は僕僕をすら魅了する。
【希瞳/きどう】神仙。色彩を作り出す。導尤と対。
【魏夫人/ぎふじん】五つの霊山「五嶽」のひとつ衡山(南嶽?)の主神。最近ちょっと荒れている。
【窮奇/きゅうき】共謀な肉食獣。
【恐怖】炎帝いわく《相手が何をしでかすかわからないこと、というのがこんなに恐ろしいものだとはな。そして、恐ろしいは、楽しいのだな》零p.139
【吉良】天馬。ふだんはただの痩せ馬の姿をしているが実は凄いんです。王弁を主と認めてくれる唯一の存在。
【玉皇上帝/ぎょっこうじょうてい】今いちばん偉い神仙。
【御史台】官僚などのチェックをする内部監察室。台院は高級官僚がターゲット、殿院は宮中での官吏の行動をチェック、察院は地方の動静を探る。他の著者の「彩雲国物語」で主人公が所属することになった怖い部署だけど、ほぼ同内容でしょう。
【拠比/きょひ】零の主人公。神仙。「炎帝の氷剣」とも呼ばれる強力な神仙だった。元は水の精だったが炎帝の命で人の姿をとらされて限りなく弱体化しさらに弱体化が続いているようだ。本編ではあまり詳しくは語られなかったが僕僕にとって重要な人物として名前が出ていた。僕僕は元々拠比に食事させるため炎帝が創り出した神仙だったようで拠比あればこその存在だったようだ。最終的に恋人だったのかもしれない。ラクスがその面影を利用したようだ。
【拠比の剣】王弁が手に入れた剣。僕僕が持っていたこともある。
【くんくん/犭に旧字の重】零で僕僕が連れていた妖。小さな火を常にくゆらせている。料理に便利。
【計見/けみ】神仙。西王母の従者。本来の姿は巨大な蝶。
【玄宗】唐の王さま。のちに楊貴妃が骨抜きにする人? でもいまはまだギラギラしてる。このお話の時代はこの人の御世。
【元綜】劉欣が手ほどきした弟分の殺し屋。ずんぐりむっくりだが、劉欣よりも腕が上の可能性すらある手練。
【劫鰓/こうし】相思水の女神。元気な少女。薄妃に親切。なにやら悩みがあるらしい。
【鋼人】大魔神みたいなもの。程海に沈んでいる。女神である刑天の似姿。荒れ狂ったせいで黄帝により首を切り落とされている。
【黄帝】軒轅のこと。三聖のひとり。神農が創り出したものを調える。
【黄帝の四天王】というか腹心で四真部と呼ぶ。白仁子(はくじんし)、青玲子(せいれいし)、赤精子(せきせいし)、黄木子(おうぼくし)で、炎帝配下の燭陰や耕父にほぼ匹敵する。
【耕父/こうふ】虎仙。燭陰と対を組んでいる。
【黒卵】衡州の乱暴者。
【呼灼/こしゃく】炎の妖。神仙ではないが準ずるくらいのチカラはある。
【呉紫蘭】宋格之に殺されたトレジャーハンターにして剣士の呉倫の娘。仇の宋格之を殺すためチャンスを狙い、ともに旅をする。
【胡蝶】胡蝶房。御史台の暗殺部隊であり諜報機関でもある。
【混沌】原初世界の残滓である化け物。かつて王弁が対峙したことがある。
【彩雲】五色の雲。僕僕はこれに乗って旅することが多い。
【蔡経】神仙。かつて僕僕の弟子だった。
【沙悟浄】あの沙悟浄。捲簾大将。
【蚕嬢/さんじょう】蚕娘。出自は不明。あやかしなのかどうかも不明。
【三聖】黄帝軒轅(こうていけんえん)天地の秩序を担当。炎帝神農(えんていしんのう)天地を栄えさせる存在を創造。西王母(せいおうぼ)創造され秩序を与えられたものを殖やす。炎帝が創り黄帝が調え西王母が広める。いずれも老君によって創られた。
【子尼/しに】導尤の巫女。少女。拠比が導尤に会う邪魔をした。
【司馬承禎/しば・しょうてい】マッチョ系仙人。僕僕先生に弟子入り志願したことがあるが果たせなかった。
【這這/しゃしゃ】司馬承禎のところにいる二人の童子の一人。
【戎宣王/じゅうせんおう】かつての神馬の王。時を超えられそうなくらい速かった。彼を元に馬が創られた。拠比や僕僕とともに旅に出た。
【戎宣国/じゅうせんこく】吉良の故郷。神馬たちが住む。
【周典】薬種屋の主。
【朱鼈/しゅべつ】巨大な亀。四つの目と六本の脚をもち、あだっぼくしゃべる。
【鶉/しゅん】王達の妻。黒々として長い髪だけが目立つ女。
【洵洵/じゅんじゅん】零で僕僕が連れていた妖。少量の水を体内に蓄えることができる料理に重宝な存在。
【准遼/じゅんりょう】嫦娥の侍女。巨大なカエル。
【嫦娥】月の女神。西王母に仕える仙女だったが夫のせいで? 失墜。舞は美しい。
【蒋実】薬種屋の主人。本人は店を兄から預かっているだけのつもり。
【燭陰】かつての大戦で活躍した。戎宣王とタメ張れる速度を誇った。今は虚空で荷馬車のような仕事をしている。赤い龍の姿をしている。
【食事】神仙には食事は必要ではないが零で僕僕が作った料理を食べた神仙は皆幸福感に包まれた。だのにターゲットである拠比だけはなにも感じなかった。
【魚尋/じん】ウオヘンにたずねるという文字。なんか変な魚。おいしいのだろうか? 王弁はこれを素材に料理を作らなくてはならなくなった。
【神仙】仙人のこと。《やはり神仙の仰ることは道理が通っていない。》『神仙の告白』p.63。神仙は好きなように行動する。
【神農】→炎帝
【燧人/すいじん(字ちがうかも?)】炎のような神仙。炎帝がものを創り出すのにつかう。
【西王母】三聖のひとり。炎帝が創り出し、黄帝が調えたものを広める。豹頭。
【昔花/せきか】僕僕と拠比が出会った人間の子ども。飢えていた。
【仙界】九つの地域に分かれている。鈞天(きんてん)は中央の山の周囲。東方を蒼天(そうてん)、西方を昊天(こうてん)、南方を炎天、北方を玄天、東北を変天、西北を幽天、西南を朱天、東南を陽天。西王母が鈞天を司り、炎帝が南方から西方を、黄帝が北方から東方を司っている。昊天はいちばん荒れているようだ。
【仙骨】仙骨を持っていれば何でも、人でも人でなくても仙人になれる可能性がある。
【ソウ(犭に争)】拠比の相棒の神獣。尻尾から薬丹を出して食いパワーアップできる。チョッパーみたいな感じ?
【宋格之/そうかくし】石の裏が気になる少年。後に胡蝶に入りトレジャーハンターとなった。
【蒼芽香/そうがこう】滅ぼされた苗の村唯一の生き残り。劉欣に惚れた。んやったっけ?
【雙六/そうりく】双六の神様。
【孫悟空】あの孫悟空。斉天大聖。今は闘戦勝仏という位についている。仏でも神仙でもなく天地の精。本人によると僕僕と闘いかけたことがあるが周囲への影響を考えやめたそうだ。
【第狸奴/だいりど】僕僕の、猫のような狸のようなペット? 庵に変じることができる。
【竹理/ちくり】とある砦で出会った少女。
【茶風森】苗族の青年。フクロウに変じていた。
【趙呂/ちょうろ】周典のところ(醤商「豊泰膳」)で働いている老人。なんだか妙に偏屈。願掛けでもしているのだろうか?
【猪八戒】あの猪八戒。天蓬元帥。今は玉皇上帝に浄壇使者として仕え料理や供物の毒味を任されている。
【対】神仙どうしの契約。互いの力を必要とし、周囲の神仙が承認をあたえると対として認められる。
【程端/ていたん】旅の厨師。
【鉄拐/てっかい】神仙。酒仙。旨い酒を醸す。一杯飲めば百年の若さを、一甕飲めば仙丹同様術力を増すことができる。
【デラク】吐蕃の王家の人。宝石をチャラチャラ身にまとっている。なかなかの大人物。
【貂/てん】胡蝶の頭領。少年のような姿。
【田鎮/でんちん】とある砦で出会った体中に肉がみっしり詰まったような少年。
【董虔/とうけん】長沙に住む少年。バンと友人になった。おっとりしてるが、正々堂々として頑固でもある。
【董燈華/とうとうか】赤龍の一族。
【時の味】《酒もうまく寝かせると、時を吸いこんで美味くなる》零p.10
【導尤/どうゆう】探し物をする務めをはたす神仙。
【吐蕃/とばん】まあ、だいたいチベットのこと。デラクの弟ドルマが王をやっている。
【ドルマ】吐蕃の王。デラクの弟。
【曇王】雷王。バンの父。
【那那】司馬承禎のところにいる二人の童子の一人。
【馬銀槍/ばぎんそう】程海あたりのトップ? 横柄で目立ちたがり屋の小物だが、意外に民のことを考えてる。
【白仁子/はくじんし】神仙。女性の姿を真似ているが人をいじめたくなる。虚無の冷気を精として生まれた。
【薄妃/はくひ】とあるカップルの女の方。後に軽くなって旅の友となり主要登場人物となった。く
【魃】兵器として生まれた旱の女神。黄帝と炎帝が戦ったとき黄帝の切り札として投入され勝利を呼んだ。王弁になつく。
【バン】雷神の少年。王族。
【幡桃/ばんとう】西王母のいる中央にある。神仙と認められると食することができる。仙骨を強化し永遠のものとしてくれるらしい。巨大な一本の木に実がなるのは一度きり。
【人】《足りないことと限りがあること、というのが人という生き物の根元にある》零p.224
【美豊/びほう】赤精子の配下の神仙。ハデな雉の姿をしている。女性のようだ。
【百樹/ひゃくじゅ】岩の牛の姿をした神仙。炎を操る。人間をいじめる下っ端。
【不空】痩せ細った僧侶。かなりの法力を持つ。
【碧水晶】苗族の王女。
【朋】蒋実の義姉。
【宝玉】妖が仙骨の代わりに持つ。個が持つのではなく一族にひとつ。
【望森/ぼうしん】赤精子の配下の神仙。双頭の狗の姿。
【蓬莱】神仙の住まう常春の国。マリネラじゃないよ。
【僕僕】主人公。美少女仙人。じつは相当な年齢だろうが。かつて拠比と対を組んでいた料理仙人で拠比の腹を満たすために炎帝が創り出した。他の神仙に比べると強くはない。が本編ではけっこう無敵だったので「零」の話でなにかがあったのかもしれない。
【仏】仏は仙骨を持っていない。すべて釈迦の化身(同一の存在ではない)。
【摩訶迦葉/まかかしょう】天竺から来た仏教の偉い人。
【麻姑/まこ】鳥の仙女。王方平の妹という話もある。
【面縛の道士】何か企んでいそうな謎の道士。かなりの力を持つ。玄宗皇帝の配下らしい。胡蝶とは別系統のようだ。
【木潤/もくじゅん】とある砦で出会った三歳くらいの少年。王弁よりも労働力になる。
【雷帝】空を統べる。全ての雷神に命令できる。
【ラクス】「光の子」。美形。自分の帝国をつくろうとしてその後もなにか企んでいる? 別名を安禄山。あの安禄山。
【陸桐/りくとう】程端の弟子。生意気。
【李双】商家の息子。誰にも見えないはずのものを見つけた。寺で囚われの身(保護されている身)。
【劉欣】御史台の胡蝶房と呼ばれる暗殺部隊の一員。手足が異常に長く骸骨のような容貌。命じられれば王でも仙人でも心を動かさずに殺す。後に胡蝶を裏切り僕僕の旅の仲間となる。貂と闘い相討ちとなる。
【李隆基】→玄宗皇帝
【老君】この世界をつくった者。見たものはいないが存在は感じられる。まず「一」を置いた。次に三聖を創り上げた。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ふつう
感想投稿日 : 2022年8月2日
読了日 : 2022年8月2日
本棚登録日 : 2022年8月2日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする