これが文学的表現だといういうのなら、私には一生かかってもその文学的表現とやらを理解することは出来ないだろう、と悄然とした一冊。
古川さんの本は初めてだったが、初めてなのにこんな灰汁の強い本を選んじゃってほんと後悔。
読み進めるうちに、”ママ”になりたがったこの女性のことを「あ、つかめた」という瞬間があるんだけれど、そう思った瞬間にはぼやけて、霧散してる感じで、結局この女性のことが何にも分からなかった。
単純に解釈していいのか、曲解が必要か、判断が出来ない。
文体も歌っているような、流れていく時間が可視化したような、そんな音の流れなんだけど、たいして綺麗ではないと感じてしまう。
何かのメタファーか、と思ってもみるものの、だが女性や少年の言っていることははっきりしていて、そこにある真実だけが語られている。
翻弄ばかりで疲れてしまったし、ラストも素直に読むならば、とても空疎で残念。
いや、人間の選択なんてそんなもんってことか。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
古川 日出男
- 感想投稿日 : 2011年1月13日
- 読了日 : 2010年11月10日
- 本棚登録日 : 2011年1月13日
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