華文字の死想―日本における少年愛の精神史

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天雅彦と味秬高彦根命、小竹祝と天野祝の同性愛、戦国時代の情死の様相を帯びた殉死、江戸時代の若衆愛、仏教僧の稚児愛、そして美少年が率いる世直しという観点から論じた滝沢馬琴論、著者独特の視点の与謝野鉄幹論、三島由紀夫論、澁澤龍彦論、塚本邦雄論を収録。副題に「少年愛」とあるが、その内容は本書の1/3程度なので、少し肩透かし。同性愛とは不毛の愛、死の愛、滅びの愛、明日を生む愛ではなく今日を生き今日を終わる愛。小さき神、アンドロギュヌスでもある少年を愛する事は、少年の時が永遠ではないので不毛であり、虚構であり、観念であるが故に、何時の日でも切ない。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 評論
感想投稿日 : 2010年10月7日
読了日 : 2010年10月7日
本棚登録日 : 2010年9月28日

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