世界青春放浪記 僕が11カ国語を話す理由 (集英社文庫)

  • 集英社 (2002年4月18日発売)
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感想 : 3
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自伝。面白い。僕は数学者は大体面白い人だと思っているんだけど、この人はそれ以上面白い人ですな。この人ユダヤ系だって初めて知ったんだけど、親父の話とか壮絶。彼の父はチェスがめちゃくちゃ強いらしんだけど、若い頃国内の強制収容所に入れられたときの話で、収容所長が趣味で10人ずつ銃殺するような人で、ある日親父さんも呼ばれたらしい。列の端から皆が殺されていく中で、数メートル先でドイツ人将校がチェスをやっていたらしい。そこで、そこに行って次の手を教えたら、将校の相手が弱かったこともあって、そのまま試合をすることに。で、勝って機嫌を損ねないように、また負けて弱いからもういいやと言われないように、わざと一戦目を引き分けに持ち込んだ。二戦目の途中についに銃殺の番が来て、ハンガリー人の看守が呼びに来た。将校は何を言っているか、親父さんに聞いた。「ドイツ人とチェスするな、と言っている」と答えると、将校は銃を向けて看守を追い返した。しばらくして銃声が聞こえると、親父の顔色から将校は全ての事情を察し、気に入られた親父さんはそのまま逃がしてもらったらしい。こんな感じで、ユダヤ人についての箇所は特に興味深い話がたくさん。

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感想投稿日 : 2005年10月16日
本棚登録日 : 2005年10月16日

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