【久保田和男先生】
「世界史は、ビジネスパーソンにとって最大の武器である」という言葉ではじまります。世界史のすべての分野を網羅しているわけではなく、筆者の歴史見方「アナロジーによる世界史の見直し」が、近現代史(特に東ヨーロッパ)の過去と現在を往復しながら展開されます。その目的は現代社会の見方を研ぎ澄ますことであり、「歴史とは過去と現代の対話である」(E.H.カー)という歴史学の金言が思い出されます。だからといって、かれが歴史学者ではないところが、本書の面白いところ。本書の内容よりも筆者の人生の方が面白いかもしれません。かれは、執行猶予付きの懲役刑をうけた犯罪者なのです。インテリジェンスのプロとして外務省で活躍して彼は外務省と政治家をめぐる事件に巻き込まれてしまいます。外務省を追われた彼は、憑かれたようにベストセラーを連発し、論壇人として活躍するようになったのです。そんな佐藤氏の史観はきわめて穏当で鋭いです。高専高学年、専攻科生に一読を勧めます。この手の本は、自分のお金をだして購入し真っ赤になるまで書き込んでください。
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教員お薦めの本
- 感想投稿日 : 2016年7月27日
- 本棚登録日 : 2016年7月27日
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