受験脳の作り方―脳科学で考える効率的学習法 (新潮文庫)

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  • 新潮社 (2011年11月28日発売)
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ここで初めて知ったのが「記憶の三兄弟」。
「経験記憶」>「知識記憶」>「方法記憶」
これは左が一番上のピラミッド構造になっていて、進化の過程で高等動物ほど左が発達しています。
「経験記憶」はヒトにしかないという研究者もいるほど。

生まれてから3、4歳くらいの記憶がないのは「経験記憶」が発達していませんから自分にまつわるエピソードが記憶にのこらないのです。
けれど「方法記憶」はすぐに発達してくるので、ハイハイよちよち歩きなどの「体で覚える方法」は身につくのです。

どちらかというと中学生ぐらいまでは「知識記憶」がよく発達している年頃で、高校受験の勉強にはいったころからは、少しずつ「経験記憶」が優勢になってきますので、これまでのような無謀な丸暗記作戦では早晩通用しなくなります。

しかし、自分の脳におこるこうした重大な変化に気づかずに、いつまでも昔の栄光にすがって同じ勉強法を続けていると、自分の能力に限界を感じるようになるのです。

中学・高校生になると、丸暗記よりも理論だった「経験記憶」がよく発達してきます。
それはものごとを理解してその理屈を覚えるという能力です。

論理や理屈でものを考えると、同じ論理が使えるすべてのものごとに活用できます。
だから中学生以降は、一刻も早く「知識記憶(丸暗記)」に頼った勉強法は捨てるべきなのです。

また、「方法記憶」は天才的な能力をつくりあげる「魔法の記憶」です。
公式そのもの(知識記憶)よりも公式の導き方(方法記憶)を覚えたほうが、その公式を応用する能力が身につきます。

学校で習う「知識記憶」は、社会に出てから役に立たないものが多いかもしれません。しかしそのときに学んだ「方法記憶」は、今後の人生のさまざまな局面で大きな助けになることでしょう。社会、家庭、娯楽、仕事、人間関係。多様な側面をもった人生を豊かにする湧泉こそ「方法記憶」です。

私はいまさら受験なんてありませんが、この考え方はいろいろ応用できるのではないかと思いました。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ☆科学☆
感想投稿日 : 2018年8月22日
読了日 : 2018年8月22日
本棚登録日 : 2018年8月22日

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