愛しの座敷わらし 下 (朝日文庫)

著者 :
  • 朝日新聞出版 (2011年5月6日発売)
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本棚登録 : 1415
感想 : 142
5

上下巻まとめての感想。
新聞連載を欠かさず読んで、本が出た時には速攻で買った。大好きな物語。

父親の左遷で、東北の片田舎に引っ越してきた高橋一家。いろいろと空回りしてしまうお父さんの晃一、田舎での生活に不満たらたらのお母さん史子、前の学校でイジメに遭い、友達付き合いに臆病になっている中学生の梓美、サッカーをやりたいけど喘息持ちで、お母さんに心配されている小学生の智也、認知症の気配がある祖母の澄代、あとは犬のクッキー。
そんな一家が、家に棲みつく座敷童子と出会った事で、それぞれが人生を取り戻して、家族仲も修復されていくという‥一言でいえば、とても気持ちの良い物語!

街中に住みたかった史子が、田舎ならではの濃密な人間関係に悩んでそれでも徐々に馴染んでいくあたりは、同じ主婦として自分ごとのように嬉しかったな。梓美が水泳をきっかけに同級生と打ち解けていく過程や、サッカーを始めてイキイキとしてくる智也は、母親目線で見てしまい、良かった〜〜と胸を撫で下ろしてしまう。
1人だけ、なかなか座敷童子に出会えない晃一がちょっと不憫だけど、やっっと出会えた後の一家の幸せ感はこちらも幸せな気持ちになる。
晃一と史子の価値観の変化、梓美と智也の成長は、この物語の大きなポイントだと思う。座敷童子に出会って、その由来を知った子ども達は、きっと人の痛みがわかる優しい大人になるんだろうな。少しぼんやり気味だったおばあちゃんの澄代が、家族の中で居場所を再構築できたのも本当に良かった。座敷童子が呼び起こして、紡いでくれた家族の絆、それぞれの成長。また東京へ戻ることになった時の家族の会話に、凝縮されていた気がする。そしてラストシーンのサプライズには、やった!と声が出てた(^◇^;)

実は、作者の荻原さんが直木賞を受賞する少し前、近くの図書館で講演を聞く機会があり
、本にイラスト付きのサインをもらうという幸運が!あと、質問コーナーで指してもらえたので、「ご自分で書かれた物語の登場人物の完結後を考えることはありますか?私は、智也とカッちゃんが結婚してたらいいな、と思ってます!」と、妄想全開の質問をして‥「そこは、読者の皆さんの想像におまかせしています!」と、至極まっとうな答えをいただいた(^^;;

映画も観に行ったけど‥まあ、橋本愛ちゃんと座敷童子の子が可愛かったな!ということで。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2024年3月9日
読了日 : 2024年3月5日
本棚登録日 : 2024年3月5日

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