百年の孤独: Obras de Garci´a Ma´rquez1967 (Obra de Garc´ia M´arquez)

  • 新潮社 (2006年12月20日発売)
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感想 : 430
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2014.7記。

ノーベル賞作家のガルシア・マルケスが亡くなった。私自身は、筒井康隆氏が書評で繰り返し絶賛していたのが入門のきっかけだった。
初めて読んだのがいきなり代表作の「百年の孤独」で、その冒頭の一文。これほどに大いなる予感を秘めた文章には滅多に出会うことはできないのではなかろうか?

「長い歳月が流れて銃殺隊の前に立つはめになったとき、恐らくアウレリャノ・ブエンディア大佐は、父親のお供をして初めて氷というものを見た、あの遠い日の午後を思い出したにちがいない。」(新訳版、新潮社)

架空の街、マコンドには広大なラテン・アメリカ大陸を旅する行商人が訪れ、割れた瓶やらなんやらのがらくたを売ったり、誰も見たことのなかった「磁石」を持ち込んで仰天させたり、売り物の空飛ぶじゅうたんで飛び回ったりする。ブエンディア家の庭には祖父の亡霊がうろついている。物語の中で、亡霊や飛行術は「ファンタジーの道具」ではなく、当然の現実の一部として描かれている。

ラテン・アメリカ文学、とくにマルケスの代名詞のように使われる「マジック・リアリズム」。科学で迷信を打倒してきたと思っている欧米人には鮮烈だったのかもしれないが、我々日本人にとっては、源氏物語とか雨月物語とかでなじみのある世界観ですよね・・・

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 海外文学
感想投稿日 : 2019年1月5日
読了日 : 2019年1月5日
本棚登録日 : 2019年1月1日

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コメント 4件

淳水堂さんのコメント
2022/07/14

naosunayaさん
こんにちは。

>我々日本人にとっては、源氏物語とか雨月物語とかでなじみのある世界観ですよね・・・

ガルシア=マルケスは、川端康成の「眠れる美女」に大変大変感銘を受けて、短編「眠れる美女の飛行」と、長編「我が悲しき娼婦たちの思い出」を書いています。(川端康成に影響され、と明記した上で)
また、古事記で「巨大な遺体が海岸に打ち上げられて」という話を読んだときは「ガルシア=マルケスの『この世で一番美しい水死人』ではないか!」と思いました。
ラテンアメリカ文学の幻想と、日本人の現実と幻惑の感覚って似てるでしょうかね。

naosunayaさんのコメント
2022/07/14

淳水堂さん、
川端康成が守備範囲外なんですよねこれが、、、(深い理由なし、巡り合わせ)。
頂いたコメントを読んで、手に取ろうという気になりました、ありがとうございます!

淳水堂さんのコメント
2022/07/14

naosunayaさん

川端康成は「片腕」という短編がまさしく妖しい幻想文学だと思いました。これは素晴らしい。

「眠れる美女」は中編です。
ガルシア=マルケスの「眠れる美女の飛行」は、短編集「十二の遍歴の物語」に入っています。
でも「我が悲しき娼婦…」もこれも、川端康成の「眠れる美女」の背徳感とは別物で、妙に健全でした 笑

naosunayaさんのコメント
2022/07/14

川端康成も、「幻想」という言葉で表現されるような類の小説なんですね、そこからかい!という感じですが。
個人的には、「神話的」と表現される何ものかに惹かれて本を選ぶことが多いです。ともあれ淳水堂さんリコメンドから川端入門します、ありがとうございます!

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