独立国家のつくりかた (講談社現代新書)

著者 :
  • 講談社 (2012年5月20日発売)
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感想 : 9
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独立国家建設に関する本を探したが、見つかったのがこの本くらいだったので読んでみた。
予想通りというか、かなり幼稚な内容だったので、半分読まずに閉じた。

ただ「視点を変えればよい」という点はひとつの見方として参考になった。

また、陰謀論者や考えの浅い人たちの思考プロセスを上でも大いに参考になったと思う。
「生理的に考える」のくだりとかは典型的な、アレな人の思考法。
あと、いちおう法律とか何らかの権威(氏の語る経歴もそう)を持ち出しつつ、それを超解釈してみせるのも非常に参考になる論法。


冒頭の「子供の時からの質問」に対してについて、特に抜き出してここに考えを書く:

■坂口恭平が抱える、子どもの時からの質問──
1 なぜ人間だけがお金がないと生きのびることができないのか。そして、それは本当なのか。
2 毎月家賃を払っているが、なぜ大地にではなく、大家さんに払うのか
3 車のバッテリーでほとんどの電化製品が動くのに、なぜ原発をつくるまで大量な電気が必要なのか。
4 土地基本法には投機目的で土地を取引するなと書いてあるのに、なぜ不動産屋は摘発されないのか。
5 僕たちがお金と呼んでいるものは日本銀行が発行している債券なのに、なぜ人間は日本銀行券をもらうと涙を流してまで喜んでしまうのか。
6 庭にビワやミカンの木があるのに、なぜ人間はお金がないと死ぬと勝手に思いこんでいるのか。
7 日本国が生存権を守っているとしたら路上生活者がゼロのはずだが、なぜこんなにも野宿者が多く、さらには小さな小屋を建てる権利さえ剝奪されているのか。
8 二〇〇八年時点で日本の空き家率は 13・1%、野村総合研究所の予測では二〇四〇年にはそれが 43%に達するというのに、なぜ今も家が次々と建てられているのか

■自分回答
1.動物並みの生活であれば人間も生きられる。人間並みの生存は分業により実現しており、それはお金により実現している
2.大家さんの所有だから(人間社会は分業であり、他の分業者への対価が必要だから)
3.効率化のため、需要に応えるため
4.これはわからない
5.日本銀行券が他の価値と交換可能だから(涙を流して喜ぶのは券ではなくそれにより得られる食料等他のものに対してである)
6.生存に足る衣食住を賄うには分業が必要であり、そのためにはお金が必要だから
7.日本国のリソース不足のため(義務を果たせない愚行を止めてまで積極的に生存を守りきるほどの社会コストが足りていない)
8.老朽家屋の代替、経済循環、移住のためだが、空き家に対する問題提起は正しい

分業により世の中が動いている、ということが理解できていない。
稲垣えみ子のような都市に依存することをもって独立と勘違いする人にも通じる。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 本:全般
感想投稿日 : 2022年7月6日
読了日 : 2022年7月5日
本棚登録日 : 2022年7月6日

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