とうとう日露戦争に突入。
ロシアという超大国に戦争を挑まなくてはならなくなった日本人の気持ち、恐怖や決意、様々な感情が、現在を生きる僕の胸にもつき刺さります。
この時の日本人の感情は、真之と同期で、生涯の友人だった森山慶三郎の言葉にあらわれています。
「私はただうつむいてだまっていた。涙がこぼれて仕方がなかった。この時脳裏を去来したのは、ロシアに負けるかもしれぬということであった。
二年前に公用で渡欧し、そのときポーランドを過ぎてその亡国の状を見た。戦勝者のロシア人が、どの町でもその町の主人のような態度でポーランド人を追いつかっているのを見たが、その光景が思い出されてならず、日本もあのようになるのではないかと思うと、感情の整理がつかなくなり、涙がとめどもなくなった。」
この戦争に負けたら、日本がなくなるかもしれない。
そんな覚悟を持った当時の日本人の姿からは、多くの勇気や教訓を与えてくれます。
決して戦争を肯定する訳ではありませんが、このような覚悟をもった人々がいたことによって今の日本があることは、日本人として知っておくべきだと思います。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
小説
- 感想投稿日 : 2012年5月31日
- 読了日 : 2012年5月31日
- 本棚登録日 : 2012年5月31日
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