レインツリーの国 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社 (2009年6月27日発売)
3.68
  • (1983)
  • (3426)
  • (3006)
  • (700)
  • (168)
本棚登録 : 29406
感想 : 2675
4

 本書を一言で表すならば、学びのある小説とったところでしょうか。聴覚障害を持つヒロインと、明るい健聴者である主人公の恋愛は一冊を通してうまくいかないことも多く、喧嘩やすれ違いが多い印象ですした。しかし、その喧嘩の言い分がどちらも社会の真理をついているようなものに感じ、痴話喧嘩というよりはディベートのようでした。
 難聴の人はこんな苦労をしている。どうして健聴者はそれがわからないのかという点に対し、主人公は耳にハンデは無いけども健聴者である自分にも君とは別の苦労がある。君だけが被害者のようにしないで欲しいと、言い過ぎなようにも感じるけど確かにそのとおりだと思いました。
 本書は涙が溢れ出ることもなければ、衝撃のラストというオチもありません。ですが、読んでよっかったと思える一冊でした。
 有村さんの作品は初めて読みましたが、読みやすくメッセージ性も高いので、また1人好きな作家さんが増えて嬉しかったです。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2021年9月20日
読了日 : 2021年9月20日
本棚登録日 : 2021年9月4日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする