本書を一言で表すならば、学びのある小説とったところでしょうか。聴覚障害を持つヒロインと、明るい健聴者である主人公の恋愛は一冊を通してうまくいかないことも多く、喧嘩やすれ違いが多い印象ですした。しかし、その喧嘩の言い分がどちらも社会の真理をついているようなものに感じ、痴話喧嘩というよりはディベートのようでした。
難聴の人はこんな苦労をしている。どうして健聴者はそれがわからないのかという点に対し、主人公は耳にハンデは無いけども健聴者である自分にも君とは別の苦労がある。君だけが被害者のようにしないで欲しいと、言い過ぎなようにも感じるけど確かにそのとおりだと思いました。
本書は涙が溢れ出ることもなければ、衝撃のラストというオチもありません。ですが、読んでよっかったと思える一冊でした。
有村さんの作品は初めて読みましたが、読みやすくメッセージ性も高いので、また1人好きな作家さんが増えて嬉しかったです。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2021年9月20日
- 読了日 : 2021年9月20日
- 本棚登録日 : 2021年9月4日
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