クローズドサークルものの本格ミステリー。クリスティの「そして誰もいなくなった」へのオマージュにもなっている。
破格の時給、丸7日間拘束されるだけで、約1800万円を手にすることができるという信じがたいバイトに採用された12人の男女。地下に造られ、外界から隔絶された構造物「暗鬼館」には、鍵のかからない12の個室と娯楽室、監獄、霊安室、ラウンジやキッチン等が設けられていた。
参加者には、人を一人殺す毎に報酬が倍になる、殺人者を突き止めた場合は報酬が3倍になる等、あり得ないルールが示され、その行動は四六時中監視される。各参加者に異なる武器が与えられ(各武器には、当該武器が用いられた古今東西の名作ミステリーを紹介したメモランダムが付されている)、参加者は夜、必ず個室で一人にならなければならない。
3日目から参加者が次々と殺されていき、疑心暗鬼になる参加者たち。混乱が続くなか、最終日に事件の真相を言い当てたのは、空気の読めないミステリーオタクの結城だった。
本作、一応辻褄は合っているのだろうけれど、必然性というか現実感は全くない。人間ドラマのようなものも無い。まあ、本格ミステリー全般に言えることなので、これは致し方ないことなのだが…。
ひたすらミステリーオタク向けの、実験的とも言える作品だった。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
ミステリー
- 感想投稿日 : 2020年9月10日
- 読了日 : 2020年9月10日
- 本棚登録日 : 2020年9月8日
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