蒼穹の昴(1) (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社 (2004年10月15日発売)
4.11
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本棚登録 : 6817
感想 : 641
4

ワクワク感やロマンを感じさせる第一巻でした。

中国の清の時代末期というなじみの薄い時代背景に加えて、読み慣れない中国名ばかりで読むのを苦労しそうな作品なのだけど、読みにくさやとっつきにくさは、早い段階で感じなくなりました。
名前が漢字表記なので読みが分からなくても、自分で適当に読みをあてはめられるのもあるかもしれませんが、物語の面白さやキャラクターの良さも大きい。

貧困にあえぐ少年。地方で放蕩息子と呆れられる青年。それぞれの立身出世の物語でもあります。運命に見捨てられたような生活の中での、成り上がりへの希望。そして占い師の壮大な予言。このあたりがロマンを感じさせます。

歴史小説なので固い物語かと思いきやキャラクターが立っていて、良い意味でマンガ的に読めたのも良かった。特に春児の言動が少年マンガの主人公っぽくて、入りこみやすかったし、読みやすい。

そうしたエンタメ部分に文章の迫力や格調高さといったものを併せ持っているのがまたすごい。

宦官を生み出すための闇の仕事場、女帝との偶然の邂逅、数日間続く過酷な科挙の試験……
時に恐ろしく、ときに美しく場面を彩る筆力! 名作と呼ばれるのも納得のここまでの展開であり、そして文章力を感じました。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 時代小説・歴史小説
感想投稿日 : 2022年12月11日
読了日 : 2022年11月13日
本棚登録日 : 2022年11月13日

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