タイトルから認知科学的なアプローチを想像しましたが、むしろ障害者福祉論に近い内容でした。著者は生物学を志したが途中から文系に転向したという経歴とのことで、視覚障害者について学術的に研究しているというわけでもないようです。
とは言え中身の薄い本ということもありません。何人かの視覚障害者にインタビューした結果をもとに、障害者を一方的に弱者として扱う従来の福祉のあり方に一石を投じる試みがなされています。
言うまでもなく、視覚障害者の世界は、晴眼者(目が見える人)が目を閉じた状態と同じではありません。彼らが世界を認識するのに使っている手法とその特徴を知ることはおおいに知的好奇心を刺激されます。たとえば、視覚は二次元であるが彼らが他の感覚で得る認識は三次元であるため、晴眼者の方が狭い領域しか“見えて”いなかったりするなど。本書では多数のエピソードを交えてそういう違いが紹介されています。
また、紹介されているイベント「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」(真っ暗闇の会場を、盲人に導かれて歩く)については別のどこかで耳にして興味がありました。いつか機会があれば行ってみたいと思います。
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- 感想投稿日 : 2017年6月25日
- 読了日 : 2016年2月13日
- 本棚登録日 : 2017年6月25日
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