39歳の彼女は、一夜の魔法にかかったように最高の淑女になって、素敵な紳士のエスコートで、オペラ椿姫を見に行く。
39歳。もう若くはなく、人生の半ばを迎えて、どうしようもない苦しさや悲しみもたくさん経験して、とぼとぼとひとり、道を歩いているような季節。
そんな時期の男女に、ふわりと舞い降りた恋。
それは、劇的に落ちる恋ではなく、疲れた心が新鮮な空気を吸って徐々に癒されていくとともに、ゆっくり心の中に広がっていくような恋。
こう書くと、甘いラブストーリーのようだけど、主人公2人が置かれた環境が、39歳のリアルだけに胸に迫るものがある。私は、男性側の主人公の奥さんが、次元がずれているところで、相手を引きとめようとするどうしようもない思いが自分の物のような気がして、少し、悲しかったかな。あと、39歳の女性の価値、心を持った女性としてではなく、働き手として見られてしまうところとかも、身に沁みたなぁ。
そうそう、オペラ「椿姫」等の音楽の扱われ方がとても素敵で、こんなふうに音楽と親しむのって素敵ですよね。
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- 感想投稿日 : 2018年1月3日
- 読了日 : 2018年1月3日
- 本棚登録日 : 2017年12月15日
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