海辺のカフカ (下) (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社 (2005年2月28日発売)
3.65
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本棚登録 : 30045
感想 : 1915
5

中学生の時に図書室で借りて読んだが、何が面白いのかわからず、途中で断念した記憶があった。
(記憶に残っていたのは空から魚が降ってくるシーンで、そのせいか読み直すまでファンタジー系の小説だと思っていた)
今、10年以上経って村上春樹も何冊か読んで、面白いと思えるようになったので、再チャレンジしてみた。

感想としては、村上作品の中でもトップレベルに好きな作品だった。

ギリシャ悲劇の『オイディプス王』になぞらえた筋書きもすごく面白いし、大島さん、ナカタさん、星野などの登場人物も魅力的。会話、文章も楽しめた。


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上巻
110
そうこなくっちゃ

232
『ある種の不完全さを持った作品は、不完全であるが故に人間の心を強く引きつけるーー少なくともある種の人間の心を強く引きつける』

385
想像力を欠いた狭量さ、非寛容さ。

426
「お前はいつかその手で父親を殺し、いつか母親と交わることになるって」その姉ともいつか交わることになるだろうと父は言った」

◆下巻
127
ロシアの作家アントン・チェーホフがうまいことを言っている。『もし物語の中に拳銃が出てきたら、それは発射されなくてはならない』

467
あなたに私のことを覚えていてほしいの。

495
圧倒的な偏見をもって強固に抹殺するんだ


【あらすじ】
カフカは家出をする。深夜バスの中でさくらに会う。四国の甲村記念図書館に行き、そこで受付の大島さん、館長の佐伯さんに出会う。
ナカタは幼い頃、不思議な事故に合い、知恵を失い、影が薄くなった代わりに、猫と話せるようになる。
カフカは血まみれの状態で目を覚ますが記憶はない。泊まる場所がなく、大島さんのロードスターに乗せられて、森の中の家に行く。
猫探しをしていたナカタは猫とり男ジョニーウォーカーに出会い、そしてナイフでジョニーウォーカーを殺す。返り血もない状態で目を覚ます。
カフカは大島さんが性同一障害の女性で、ゲイであることを知る。
ナカタは西へ向かう。長距離トラック運転手の星野に乗せてもらい、道中を共にする。
カフカは父親の死を知る。カフカはかつて父親から、いつか父親を殺し、母親と姉と交わると予言を受けていたことを大島さんに打ち明ける。
カフカは佐伯さんが自分の実母ではないかと考える。
カフカは15歳の佐伯さんと思われる幽霊を見る。カフカは幽霊または佐伯さんに恋をする。
ナカタと星野は四国に入り、入り口の石を探す。
星野はカーネル・サンダースに出会い、入り口の石を開ける。
カフカは佐伯さんと交わる。警察から逃れるため、カフカは森の中の家へ移る。
ナカタと星野は甲村記念図書館にたどり着き、佐伯さんと大島に会う。佐伯さんは自身の人生を書き記したファイルをナカタに燃やすよう預ける。そのあと佐伯さん亡くなる。ナカタも死ぬ。
カフカは森の奥深くへ進む。さくらは実の姉ではないかと考える。夢の中でさくらと交わる。
2人の歩兵が入り口へ案内する。町に着き、そこで佐伯さんと再会する。佐伯さんは自分のことを覚えていてほしいと伝え、カフカを元の世界に帰す。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: フィクション
感想投稿日 : 2014年10月11日
読了日 : 2014年8月31日
本棚登録日 : 2014年8月31日

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