★今回も逸品揃い★生と死をつなぐ曖昧さが根底に流れる。「迷いの旅籠」では死者をむやみに呼び返しても半端な哀しみだけが戻ってくる様子を描き、「おくらさま」では拾われた恩義と呪いとがないまぜになった思いを美しかった老女から伝える。
「三鬼」では貧しい集落で見込みのない病人を間引かざるを得ない苦しみを書くとともに、藩の苦境を吐き出して自らのケリをつける武士が登場。「食客ひだる神」でも、料理人がおちかに秘密を打ち明け江戸を去る。人は誰かに自分だけの話を伝えたい。何かのきっかけとするために。
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カテゴリ:
小説
- 感想投稿日 : 2020年9月24日
- 本棚登録日 : 2020年9月24日
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