著者・ヨーコさんは、終戦後の満州からの引き揚げを経験し、
日本に戻ってからも苦労をしながら学問を続けて、
後にアメリカ人と結婚、渡米されています。
この本はそんなヨーコさんがご自身の戦争体験を元に、
1986年に書かれた一冊、アメリカの学校では副読本にもなっているとか。
人の醜さと高潔さを同時に伺える、そんな印象が残りました。
日本人の陰湿さも、朝鮮人の暖かさも、
朝鮮人の残虐さも、日本人の高潔さも、
その全てが綯い交ぜになって、人の本質が紡がれている、
戦争は極限状態の連続ですが、人はその極限状態で、
民族などとは無関係な“生の本質”をあらわすのでしょうか。
一貫しているのは、共産主義勢力のエゲツなさ、
これは、ソ連も共産支那もかわらない、さすがの毛沢東。
ん、こちらであれば、小中学生にもフラットに読ませられると思います。
戦争の悲惨さと陰鬱さ、その中でも失われない人間の尊厳、、
“戦争とは恐怖そのもので、勝負はなく互いに「負け」”
これに尽きると思います、ただこの一言に尽きると。
圧倒的な暴力の前では人は無力で、翻弄されて、理不尽に“奪われていく”、
そして関わった人は誰もが、何かしらを“失っていく”、それが故に、、
戦争に“勝者”というものは存在しないのではないかと、
そんなことを、真摯に伝えてくれると、そう感じます。
そして、こういった書籍を副読本として使うアメリカの懐の深さは、さすがだなと。
いつの日か息子が読むように本棚に並べておこうと、そんな一冊です。
- 感想投稿日 : 2014年3月14日
- 読了日 : 2013年8月26日
- 本棚登録日 : 2013年6月4日
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