竹林はるか遠く―日本人少女ヨーコの戦争体験記

  • ハート出版 (2013年7月11日発売)
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本棚登録 : 494
感想 : 82
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著者・ヨーコさんは、終戦後の満州からの引き揚げを経験し、

日本に戻ってからも苦労をしながら学問を続けて、
後にアメリカ人と結婚、渡米されています。

この本はそんなヨーコさんがご自身の戦争体験を元に、
1986年に書かれた一冊、アメリカの学校では副読本にもなっているとか。

人の醜さと高潔さを同時に伺える、そんな印象が残りました。

 日本人の陰湿さも、朝鮮人の暖かさも、
 朝鮮人の残虐さも、日本人の高潔さも、

その全てが綯い交ぜになって、人の本質が紡がれている、

戦争は極限状態の連続ですが、人はその極限状態で、
民族などとは無関係な“生の本質”をあらわすのでしょうか。

一貫しているのは、共産主義勢力のエゲツなさ、
これは、ソ連も共産支那もかわらない、さすがの毛沢東。

ん、こちらであれば、小中学生にもフラットに読ませられると思います。
戦争の悲惨さと陰鬱さ、その中でも失われない人間の尊厳、、

 “戦争とは恐怖そのもので、勝負はなく互いに「負け」”

これに尽きると思います、ただこの一言に尽きると。

圧倒的な暴力の前では人は無力で、翻弄されて、理不尽に“奪われていく”、
そして関わった人は誰もが、何かしらを“失っていく”、それが故に、、

戦争に“勝者”というものは存在しないのではないかと、
そんなことを、真摯に伝えてくれると、そう感じます。

そして、こういった書籍を副読本として使うアメリカの懐の深さは、さすがだなと。
いつの日か息子が読むように本棚に並べておこうと、そんな一冊です。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ノンフィクション
感想投稿日 : 2014年3月14日
読了日 : 2013年8月26日
本棚登録日 : 2013年6月4日

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コメント 2件

nejidonさんのコメント
2014/03/14

こんばんは♪
本棚で見てから、この本のレビューを心待ちにしていました。
きっちりおさえるべき点はおさえてあって素晴らしいです。
私もこれから読む予定の一冊です。
小中学生でも、というところに強く惹かれました。
読みこなして、中学生向けのブックトークに使いたいものです。

ohsuiさんのコメント
2014/03/17

nejidonさん
ありがとうございます!

戦争の怖さ、ということがダイレクトに伝わってくる内容でした。
5年生くらいになれば、ヨーコが同世代でもありますし、想像力を持って読める内容と思います。

読み継いでいきたい1冊ですね~

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