陰陽屋へようこそ

著者 :
  • ポプラ社 (2007年9月1日発売)
3.31
  • (12)
  • (32)
  • (60)
  • (13)
  • (3)
本棚登録 : 222
感想 : 59

タイトルだけみて、ふっと手を伸ばすことってあるじゃないですか。この本との出会いは本当にそんな感じでした。しかもそーいうのに限って当たり(好み)だったりするのが不思議なんですよね!

東京都北区王子の住宅地、商店街の外れのビルの前に「陰陽屋はじめました」の看板が立っていた。学校から帰る途中の中学3年生・沢崎瞬太は、心霊話好きで好奇心旺盛な母・みどりにねだられて渋々店内に入った。
小さな4階建ての古いビルの地下の扉を開くと、中にいたのは白い狩衣をまとい藍青の袴をはいた長髪黒髪の優男…「阿部祥明」という陰陽師であるらしい。みどりはさっそく鑑定とお祓いを頼むのだが、傍から見ている瞬太にはとてもじゃないがインチキにしか見えなくて…。
第1話「陰陽屋はじめました」で出会った腹黒インチキ陰陽師・祥明と、実はキツネ耳と尻尾が出せる瞬太クンの2人がコンビになって、
第2話「狐憑き疑惑」では近所の小学生・由美香ちゃんの依頼で、家庭内DVを解決し、
第3話「失せ物探し」では祥明の友人・秀行の頼みで、ある資産家の老女の遺言状探しに奔走し、
第4話「家出人探し」ではもしかしたら瞬太の実の母親かも知れない女性の行方を探すことになってしまったり…、と店主とバイト君の陰陽屋はどたばたまったりと、昼前ころから夜8時まで営業中です。ちなみに定休日は日曜日。

4作の短編に加え、番外編「キツネ取材日記」も収録。

元・ホストの陰陽師と、キツネ耳尻尾の元気中学生って設定って、もしもラノベで出版してたら違うイメージの作品になりそうだなぁなんてことを考えて読んでたりもしましたが(笑)。しかも毒舌なんですよ陰陽師。女性客相手だと視線と口先三寸で丸め込みつつ、客じゃない相手だと毒舌&スルーで面倒くさがり。どこまでイイ性格してるのやら(笑) 同級生で新聞部の高坂クンも祥明に対抗できるくらいにイイ性格してますが、どっちもどっちな気がする…。年の功でやや祥明の優勢勝ち?
そんなイイ性格の店主と反対に、特異体質で拾われっ子なのに育ての両親や周囲の皆に愛されて大事にされてきたんだろうな~って感じの瞬太クンがとってもかわいい。しかも学校の皆にもバレてないと思ってるあたりがマヌケで愛らしいヨ! というか、この作品の登場人物(瞬太の両親・同級生・お客)はみんな、どこか間が抜けているというか悪い人はいないんですよね。とってもはた迷惑な人はいますけど…。さすがに祥明には同情します…苦労したんだな…。
そんな登場人物たちの中でも最強はやっぱり母・みどりさんでしょう!母は強し!というよりは、やはりみどりさんだからな気がしますねvあんな母親だったらなりたいなぁ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: その他作家
感想投稿日 : 2012年6月13日
読了日 : 2009年5月1日
本棚登録日 : 2012年6月13日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする