面白かった。とにかく面白い。
今回は、「恋」を題材に、人の愚かさとその愚かさとの様々な向き合い方とを描いている。問題は、愚かさではなく、愚かさとの向き合い方なのですね。
愚かさは、結構自分ではどうしようもなくて、それは日々をしっかり積み重ねて暮らしている人にも、そうした積み重ねを台無しにするような形でやっていくる。
前作『日暮し』では、自分ではどうしようもないことが他からやってきたけれど、今回は自分自身が「恋」の形で引き寄せてしまう。恋ゆえの愚かさをどうやって受け入れるか。これを単に因果関係で説明することはいやしいことである、と佐々木先生がおっしゃる。しかし、わからないときは学問をしなさい、と源右衛門先生はおっしゃる。
弓乃助が、どうしようもないことを真に納得し受け入れるまであと少し。ついにここまで来たってかんじがする。
次回作が楽しみ。『ぼんくら』シリーズを何度も読み返しながら待っていようと思う。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
宮部みゆき(古)
- 感想投稿日 : 2011年11月4日
- 読了日 : 2011年10月31日
- 本棚登録日 : 2011年11月4日
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