なにせ相手は気の遠くなるほど昔から星の数ほどの人々が考え、対話を繰り返してきた思考の集まりです。たった200ページやそこらで理解しきれる代物ではありません。
ただし、その輪郭に触れることができる1冊でした。ウパニシャッドの複雑なその姿と抽象的な概念は、思想というよりは人間そのものにも思え、眩暈がするほどの壮大さには圧倒されます。ですが仏教やその他、日本人に身近な存在へ影響を与えているだけに、言葉にはできなくてもなんとなく肌で感じ取れるような気がして、異様なまでの知的興奮も生まれました。
梵は我なり。
けど、こういったものは扱い方次第でとても危険になるな。とも思うのです。いくらでも都合よく曲解できるんですよね、漠然としすぎているので。そのくせ、知的な興奮度は妙に高い。そりゃあインテリと括られる人たちがアヤしいカルトにはまりやすいわけですよ。つくづく、自分がインテリジェンスとは無縁で良かったと思います。こういう思想に触れても「なんかよくわかんないけどすっごーい!」で終わっちゃいますから。ただ、無知につけこまれてだまされないよう、常に気をつけなくてはいけないのですけれど。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
講談社学術文庫
- 感想投稿日 : 2012年9月17日
- 読了日 : 2012年9月13日
- 本棚登録日 : 2012年9月17日
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