薄桜記 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社 (1965年5月2日発売)
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本棚登録 : 213
感想 : 23
4

久しぶりに、凄みの利いた小説が読めて大変満足しています。元禄赤穂事件を軸に、相対する2人の、己の道に生きた武士の物語。序盤から中盤にかけては思いのほか展開がゆるやかで、ようやく弾みがついたかと思えば、そこから延々と『忠臣蔵』ではない赤穂事件のあらましと筆者の私見が1冊の本として成立するくらいに続くのですが、間延びして中だるみする事なく、これらの要素が見事に現実と虚構を融和させ、物語に深みを持たせています。ひっそり静まり返った夜に、お酒を片手にじっくり愉しむのが似合うハードボイルドな時代小説でした。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 時代小説
感想投稿日 : 2012年9月17日
読了日 : 2012年7月1日
本棚登録日 : 2012年9月17日

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