いよいよ大坂冬の陣。真田幸村、後藤又兵衛ら大阪方の武将が揃い、いざ決戦。のはずだが、本書で語られるストーリーの多くは、家康による謀略中心。家康にとって一応、主人である豊臣家を潰すことは、後世の汚名につながる恐れがある。単純な軍事力で勝敗を決めるわけにはいかないのだ。家康が見ているものは、目の前の大阪城ではなく、終戦後の徳川統一のビジョンだ。
はるか先を見ている家康に対し、豊臣家は現実すらまともに見ようとしない。淀殿、大野修理、浪人たちが都合のいい状況を選択して、意見がまとまらない。
真田幸村など、やる気のある優れた武将たちが揃っている大阪方は局地戦では勝利するも、その小さな勝利を全体に波及させることができず、結局は家康の謀略に押し切られる。力のある兵士がいても、それを使いこなすリーダーがいなければ、敗北してしまうという当たり前の組織論だ。
かくして、家康は休戦と城堀の埋立てを勝ち取る。ようやくわかったのだが、この作品は徳川家康というダークヒーローが主人公だった。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
歴史モノ
- 感想投稿日 : 2017年11月24日
- 読了日 : 2017年11月24日
- 本棚登録日 : 2017年11月24日
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