将来に悲観した若者が白昼堂々と大量殺人を犯す事件が、時折、世間をにぎわせる。そして、マスコミや専門家はそんな若者を犯行に駆り立てた原因を検索する。若者自身なのか、社会なのか、職場なのか、家庭環境なのか。
本作品での殺人の原因はズバリ父親だ。三浦友和演じる葛城の家族に対する強圧的な態度が妻の精神を壊し、長男を弱い人間にしてしまい、次男を殺人に走らせる。が、父親はなぜ家庭が崩壊したのかわからない。自分は家族に対してベストを尽くしていると思い込んでいる。
守っていたはずの家族がバラバラになってしまった葛城にとって、次に守るのは住んでいた一軒家。近隣から村八分になろうと、自宅の壁に落書きをされようと、彼はかたくなに家を守り続ける。
葛城一族や田中麗奈演じる死刑反対活動家などの登場するすべての人間が壊れたまま、何の光明も見えないダークストーリー。大量殺人事件の加害者の裏側なんて、こんな救いようのない日常なのかもしれない。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
新感覚
- 感想投稿日 : 2018年12月10日
- 読了日 : 2018年12月10日
- 本棚登録日 : 2018年12月10日
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