サウス・バウンド

著者 :
  • 角川書店 (2005年6月30日発売)
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本棚登録 : 3319
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正直に言えば中程までは『なんだかなぁ。自分勝手だよ、人間一人で生きられるわけないし…』なんて色々思いつつ読んでたけど第二部に入ってから読み進めるうちにすっかり入り込んじゃった。
あらら、家族まで巻き込んで子ども達は『普通に』暮らしたがってるのにお気の毒~なんて感想まで持ったのに(笑)

息子『二郎』の目を通して進む話しなので子ども間の問題も盛りだくさん(笑)
一昔前ならば『腕白でもいい、たくましく育ってほしい』ですむだろう話しも今の世の中も変わったなぁとしみじみしてみたり(笑)


さてチト辛口感想

自分には無理だろうと思う。
ただ世の中のシステムに文句を言うだけで何かをしているかと言えば何もしてないねぇ…
ご大層なことだけをのべる政治家様よりは一郎の行動のほうが好感はもてる。ただみんなが同じ行動をとれば国はどうなるのかちょっと怖い気もするけど(笑)
何が正しいのか分からないけれど裏金がどうとか、年金問題、高齢者医療費とか適当を許しているこの世界は正しくはないんじゃないかと思ったね。

ん~でも何もない所で自分の力からだけでどうぞと言われてもそれも困るんだけど。
行動出来ない自分も情けない…



ラスト当たりで一郎は二郎に言うセリフはこの本を読んできたからこそ胸に響いてくるんだと思う。

『おまえはおとうさんを見習わなくていい。お前の考えで生きていけばいい。おとうさんの中にはな、自分ではどうしようもない腹の虫がいるんだ~』

『~おとうさんを見習うな。~けれど卑怯な大人にだけはなるな。立場だけでで生きるような大人にはなるな。』

『~違うと思ったらとことん戦え。負けてもいいから戦え。~理解者は必ずいる。』

最初に言ったセリフなら『なにその理想論、子どもに偉そうなことを言わないで欲しい』なんて反感を持ったかも知れないけれど二郎と一緒に成長してきた読者にはこの気持ちが理解出来るんじゃないかな。
同じような行動を取れるかは別として。

方法は問題あれど自分の信念を曲げず一人ででもやりとげ、貫ける一郎には拍手を送りたい。
今の大人に欠けている物を持ってるからこそこの本を読んだ人たちは一郎に惹かれていくんじゃないかな?

これから読む方、途中で飽きてきてる方がいればぜひぜひ第一部の一郎だけでこの本を破断しないでと言いたい(笑)
重量感ある本だけどあっという間に読めると思うよ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 作家 ア行
感想投稿日 : 2010年4月26日
読了日 : 2010年4月26日
本棚登録日 : 2010年4月26日

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