社会学におけるエスノグラフィーの古典。
原題は[Learnig to labour]
貧困からの脱却を企図するならば、ブルーカラーよりもホワイトカラーを目指す。にもかかわらず「野郎ども」は積極的にブルーカラーを欲望する。
なぜか?
盲目的に杓子定規に学校の勉強に励むこと、
権威に対して従順であること、
これらは「野郎ども」にとっては恥ずべきことなのだ。
学校教育は教師の貯蔵する知識を「従順」と「尊敬」をみかえりに少しずつ手に入れる空間である。そのシステムを「拒否」「反抗」し、軽蔑さえする。彼らが価値を置くのはマスキュリンの象徴「筋肉」「猛々しさ」なのであり、その延長にあるものこそ肉体労働なに他ならない。支配的な価値観に反吐を吐き、敢えて反抗する。青年期の反抗は、自らの肉体労働にポジティブな自己認識を付与する。
杓子定規な学校教育に抵抗するからこそ、社会構造の構築に加担する。だからこそ、社会構造は安定的になるというパラドキシカルなリアルを見事に喝破する論考。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
Sociology
- 感想投稿日 : 2010年12月23日
- 読了日 : 2010年12月23日
- 本棚登録日 : 2010年12月23日
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