鳥類学者だからって、鳥が好きだと思うなよ。

著者 :
  • 新潮社 (2017年4月18日発売)
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本棚登録 : 2959
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>鳥と人間には共通点が多い。二足歩行で、昼行性で、視覚と音声によるコミュニケーションをとり、主に一夫一妻制、そんな動物は鳥と人間しかいない。
>親密になれそうなのに、未知の顔が隠されている。まるで一目惚れの相手である。興味がわかないはずがない。

こども科学電話相談でお馴染み川上センセーの、エッセー集、かな?
小気味いい語り口で10ページ弱の小噺が24編収録されています。
タレント・モデルの10分の1くらいしかいない希少な鳥類学者のお話を聞ける貴重な機会。
タイトルは、積極的に選んだ研究対象ではなくて消極的にたどり着いたのが鳥類学者だ、というくらいの意味みたいです、が、どう読んでも鳥大好きでしょう先生…。

第1章
先生の主フィールド小笠原諸島のお話。絶海の孤島には固有種がいっぱいいる。研究対象としてはいかにも面白そう。

第2章
孤島中の孤島、南硫黄島でのフィールドワークの話。
ハエを吸い込まずには呼吸ができないという恐ろしい場所でも鳥類学者は調査をするのだ。

第3章
著者は骨を集めている。変態だからではない。鳥類学者だからだ。

第4章
海鳥を絶滅させるチカラを持つ外来ネズミを駆除しようとする話など。孤島といえども泳いできて再定着したりするので一筋縄ではいかない。

第5章
鳥類学は毒にも薬にもならず、社会にも経済にもとんと影響がない。つまり税金が投入される割合が高いので国民への還元としてのプレスリリースは重要(でも直接の利益はほとんどない)。

第6章
恐竜は絶滅したのではなく鳥類に進化したので「鳥類は恐竜の一系統」ということになり、従来型の恐竜は「非鳥類型恐竜」というまどろっこしい名で呼ばれるようになってきた。


すごーく読みやすくて楽しい本です。
縦横無尽な小ネタの乱打が、やや過剰かな、と思わなくもない…きっと先生の普段のしゃべりもこんな感じなのかなと思いました。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ノンフィクション
感想投稿日 : 2020年2月26日
読了日 : 2020年2月25日
本棚登録日 : 2020年2月25日

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