この世の全てを達観したような気高さで空を眺めるも、歩く姿はヨチヨチと拙く愛らしいが飛べない不思議な鳥ペンギン。そのペンギンをはじめコウモリやクジラをも”生む”事の出来るおっぱいを持つ大人の女性に疑問と憧れを抱く少年の日常は、探求と冒険に満ち溢れた日々だ。異性という認識すらない少年のお姉さんに対する不思議はあらゆる生命の源となる「海」のメタファー。シュールな展開の中にも昔「男の子」であった者ならば既視感に似た感情を抱くことの出来る不思議な文体は和製『鏡の国のアリス』の少年バージョンとも呼べよう。嗚呼!深い。
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文庫
- 感想投稿日 : 2013年8月31日
- 読了日 : 2012年12月22日
- 本棚登録日 : 2012年12月22日
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