悪い娘の悪戯

  • 作品社 (2011年12月23日発売)
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本棚登録 : 335
感想 : 34
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リョサにして珍しいほどのシンプルな小説。悪い娘=ニーニャ・マラがいわゆるファム・ファタールで、主人公は一生をかけて彼女を愛し続ける。ガルシア・マルケスの「コレラの時代の愛」のテーマも長年の純愛だし、この手のロマンチックな男性像は南米の伝統芸なのだろうか。
主人公は「パリに住むだけで満足、仕事も収入も平凡な男」なのだが、非凡な女性を致命的に愛しながら、家族や親友などの持てる絆を全て失い、彼女の周りにいる異常な人々とも対峙する、孤独で特異な人生を歩む。
単純な恋愛小説に留まらないリョサとして、舞台はペルー、パリ、ロンドン、東京、マドリードに及び、60年代に始まるペルーの政変から40年に及び、ヒッピー文化など時代が生き生きと描かれる。日本のくだりがグロテスクで興味深かった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 海外
感想投稿日 : 2015年6月16日
読了日 : 2013年1月16日
本棚登録日 : 2015年6月16日

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