64(ロクヨン) 上 (文春文庫 よ 18-4)

著者 :
  • 文藝春秋 (2015年2月6日発売)
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D県警広報室トップ広報官の三上義信
これは、2度目の広報室勤務
前回は刑事3年目で広報室勤務を命ぜられ1年で刑事部に戻された。
怯えが精勤を支えたと言っていい。
以来、20年以上刑事としてのキャリアを積んできた。
それが、晴天の霹靂の広報官就任だ。
2年で刑事部に戻る
幾つもの感情をその一言に封じ込めて広報官の任に就いた。

三上の娘あゆみは父親に似ている顔を嫌い心を病み家出
広報室の改革……記者クラブとの関係が改善されつつあった。
あゆみの家出が事情を一変させた。
キャリアに言われるがままの記者対策で

広報室と記者クラブと加害者の匿名問題で対立する中
警察庁長官による時効の迫った重要未解決事件「ロクヨン」
視察が1週間後に決定した。

ロクヨンとはD県警刑事部にとって掘り返されたくない迷宮入り直前の
昭和64年に起きた雨宮翔子ちゃん誘拐殺人事件
ロクヨンを巡り刑事部と警務部が全面戦争に突入
三上は長官訪問を被害者にお願いするが、断られる。
長官の遺族訪問を実現すべく、父親を説得する為に
改めて「ロクヨン」の捜査関係者から話を聞きまわる。
犯人から脅迫電話を録音する「自宅班」の内2人が事件直後警察を辞めていた。
『幸田メモ』の存在
歴代の刑事部長が代々隠匿していた秘密がある事を知る。
長官訪問の意味……。

長官視察の前日に「ロクヨン」の手口を全くコピーした新たな誘拐事件が発生
このタイミングで誘拐
これは、狂言誘拐なのか?
被害者の一家は実在するのか?
これは、本当に偶然の産物なのか?

前半は、広報室と記者クラブの対立
警察内部……刑事部と警務部の軋轢
高圧的なキャリアと叩き上げ刑事の哀しさ
暗く重い心情描写の連続……    それも、伏線

後半は、14年前の事件を全くコピーした誘拐事件が発生
これは、実際に起こっているのか?
作られた誘拐事件なのか?
ページを捲る手が止まらず一気に読めました。

横山さんの人物描写や深い心理描写素晴らしいです。

横山さんの警察小説は名作です。
深く考えさせられ重い内容の本です。
とても、読み応えがありました。
その後のD県警・三上警視・あゆみちゃん……知りたくなりました。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 警察ミステリー
感想投稿日 : 2016年2月24日
読了日 : 2014年7月14日
本棚登録日 : 2016年2月24日

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