D県警広報室トップ広報官の三上義信
これは、2度目の広報室勤務
前回は刑事3年目で広報室勤務を命ぜられ1年で刑事部に戻された。
怯えが精勤を支えたと言っていい。
以来、20年以上刑事としてのキャリアを積んできた。
それが、晴天の霹靂の広報官就任だ。
2年で刑事部に戻る
幾つもの感情をその一言に封じ込めて広報官の任に就いた。
三上の娘あゆみは父親に似ている顔を嫌い心を病み家出
広報室の改革……記者クラブとの関係が改善されつつあった。
あゆみの家出が事情を一変させた。
キャリアに言われるがままの記者対策で
広報室と記者クラブと加害者の匿名問題で対立する中
警察庁長官による時効の迫った重要未解決事件「ロクヨン」
視察が1週間後に決定した。
ロクヨンとはD県警刑事部にとって掘り返されたくない迷宮入り直前の
昭和64年に起きた雨宮翔子ちゃん誘拐殺人事件
ロクヨンを巡り刑事部と警務部が全面戦争に突入
三上は長官訪問を被害者にお願いするが、断られる。
長官の遺族訪問を実現すべく、父親を説得する為に
改めて「ロクヨン」の捜査関係者から話を聞きまわる。
犯人から脅迫電話を録音する「自宅班」の内2人が事件直後警察を辞めていた。
『幸田メモ』の存在
歴代の刑事部長が代々隠匿していた秘密がある事を知る。
長官訪問の意味……。
長官視察の前日に「ロクヨン」の手口を全くコピーした新たな誘拐事件が発生
このタイミングで誘拐
これは、狂言誘拐なのか?
被害者の一家は実在するのか?
これは、本当に偶然の産物なのか?
゛
前半は、広報室と記者クラブの対立
警察内部……刑事部と警務部の軋轢
高圧的なキャリアと叩き上げ刑事の哀しさ
暗く重い心情描写の連続…… それも、伏線
後半は、14年前の事件を全くコピーした誘拐事件が発生
これは、実際に起こっているのか?
作られた誘拐事件なのか?
ページを捲る手が止まらず一気に読めました。
横山さんの人物描写や深い心理描写素晴らしいです。
横山さんの警察小説は名作です。
深く考えさせられ重い内容の本です。
とても、読み応えがありました。
その後のD県警・三上警視・あゆみちゃん……知りたくなりました。
- 感想投稿日 : 2016年2月24日
- 読了日 : 2014年7月14日
- 本棚登録日 : 2016年2月24日
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