日々ごはん (2)

著者 :
  • アノニマ・スタジオ (2004年9月1日発売)
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感想 : 31
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がんがん読んどります。高山なおみさん日々ごはん。
なぜ今まで存在を知らなかったのだろう。
銀色夏生さんとばななさんのダイアリはずっと読んでいたのだけど、いまは高山なおみさんがばつぐんにヒットです。
素敵な方。

【気になったぶぶん】
詩と曲とどっちが先にできるのか聞いてみたら、「曲が先。メロディーが言っているから、それをできるだけそのまんま言葉にする」と言っていた都子ちゃん。私はいっぺんで好きになりました。→すてき。

「太陽」のアルバイトの女の子で見たことがない娘がひとりいて、あまり笑わない娘だし、なんとなくとっつきにくかったから(私もけっこう人見知りなので)、話しかけないでいたら、実は私のファンでいらした。それで、緊張していたみたいだと別の娘から聞いて納得しました。そういう人って、人間としていちばん信頼できるんだよなと、私はつねづね思っています。「高山さんのホームページを学校で見るのが楽しみなんです。いろいろあったりごたごたあったりした時に読むと、落ち着くんです」というようなことを、皿を洗いながらひとこと言ってくれました。「今日はこれが言えたからよかったです」とも言っていた。本当の人の本当の言葉というのは、胸を打ちます。→私もおなじ。緊張してしまう。そのままでいいのかも。よかった。

終わりの蜜月。そばに置いて何度でも読みたくなる本だ。

また今日も本の文章書き。少しずつ、少しずつ、土をどけたら埋まっていた器(伝えたいことのテーマ)が顔を覗かせて、周りの土を指ではらっているような、今日はそんな感じだった。あとはそれを布で拭いて磨けばいいのだろうか。それもまた違う気がする。

既にそこにあるもの(大竹伸郎著)すごくおもしろい。

帰ってからワインを一杯飲んだらボーッと眠くなってしまい、スイセイとお昼寝タイム。「今夜、ごはん作りたくないなー」と甘えると、「えーで」と優しいスイセイだ。私は助けられているな、と思う。自分のやりたいこと、やりたくないことを気持ちのままに、無理せずやったらええというのがスイセイの考えなので、くたびれた時にそれがものすごく響くことがある。

布団の中で延々と「麦ふみクーツェ」を読む。読みでがあってひじょうに嬉しい。途中ミルクティーをいれ、クッキーを食べながら、ストーブもつけない寒い部屋で、布団をかぶって本を読むというのは、私の冬場の愉しみなのです。これは昔、山小屋でアルバイトしていた時に覚えた愉しみだ。

今年のベスト本は「ぶらんこ乗り」と「麦ふみクーツェ」だ。なんだか本の世界が新しく広がったなと思う。私はよく、とくに酔っぱらって調子の良い時、普段考える脳みそが止まって、勘みたいなものだけでふわふわと感じている時がある。人の話を聞いていてもその内容ではなくて、声の感じや顔のまわりの感じの方を、ただ見ているのだ。この感じを言葉で表そうとすると、サーッと雲がかかったみたいにぼやけてしまうのだが、いしいしんじさんの本は、それを物語にして書いているような感じがする。

このところ続けていろんな人に会って、楽しく濃い時間を過ごしていたので、さすがに今日は誰にも会いたくない。そういう日でも、会ってもなんともない人は、スイセイとりう。それが家族ってもんかもしれないが、これって案外だいじかも。そういう人が、家の中をどうでもよくウロウロしていることって、すごく自分の助けになっているなと思う。狭い自分の世界に穴があくというか、伸びるというか。

4時くらいから、スイセイと布団の中で本を読んでいたら、ねそべった所からちょうど見える空が、あまりに綺麗で読むのをやめた。鳥もチーチー鳴いている。薄青い空に、引き千切ったような、まとまったかき卵汁のような雲だ。印象派の絵みたい。「指にからめたら、ほつれそうな雲じゃの」と、スイセイも興味を示していたが、それも一瞬のことで、さっさと寝てしまった。かき卵の黄色い雲は、しだいにもったり重くなり、じわじわと橙色を帯びていって、あっという間にすばらしい夕焼けに。思い余って窓を開け放ち、電気ストーブをつけて、首まですっぽり布団をかぶってずっと眺めていました。

初女さんのところには、あちこちから見ず知らずのいろんな人が、悩みを相談に来るのだそうだ。そのたびにごはんを作って食べさせてやりながら話を聞く。「食べながらだとね、話しやすいみたいなんですよ。食べて、おいしいーと思うと、自然と体がほぐれてくるんですね」「私はね、聞いているだけ。その人の身になってその話を聞いていると、そうだねー、そうですねーと思うからそうしていると、話している人が自分で糸口みたいなものをみつけるようになるのね。そうやって皆さん帰って行かれるんですよ」→たしかに、答えはその人の中にある。と思う。

映画「アカルイミライ」浅野忠信もオダギリジョーも、とくに藤竜也がすんごい良かった。良い映画だったなー、暗くて重くて爽やかで。エンディングのロールっていうんだろうか、キャストの名前が出てくるところ。あそこらへんもさりげなくぐっときた。

MAYAさんは、画家の有本利夫さんにすごく影響されて絵を書き始めたそうだ。その頃描いた絵が写ったが、今の絵とまったく違って、有元さんにそっくりな画風だった。自意識ばっかり強くて最高に落ち込んでいた時に、自分のだめな理由というのがふたつ見えてきたそうだ。「ひとつは、自分の絵が描けていないということ、もうひとつは金がないということ」だから、朝、ビルの掃除の仕事をすることにした。掃除の仕事をすれば暮らしていけるし、あとは一日中絵を描いていられるから。そして、つい4年前まで掃除の仕事は続けていたそうだ。彼女の絵と、絵を描いている姿がすべてなんだけど、インタビューの答え方も、自分の中心から出てくる想いに忠実に、ただ言葉を選んで語っているだけだ。よそからどう見えるかとか、周りから見て自分の立場は?みたいなことは、いっさい頭にないことになっている。MAYAさんは、よそと比べないから、まったく狂いがないと思う。→よそと比べない。ってほんとだいじだ。

読書状況:未設定 公開設定:公開
カテゴリ: エッセイ
感想投稿日 : 2016年3月16日
本棚登録日 : 2016年3月16日

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