ジェイン・オースティンの『高慢と偏見』×ゾンビ。
もうこの設定だけで大勝だ。なんの戦いかわからないけど。
ともかく、あのうららかな世界にゾンビが現れるというだけで狂喜してしまう。
ストーリーもだいたい『高慢と偏見』に沿っている。
エリザベスとダーシーのすれ違いや、ウィカムとリディアの駆け落ちまで。もっとも、どちらにもゾンビが絡んでくるわけだけど。
一応、ベネット姉妹たちの結婚もテーマになっているのだけれど、ちょいちょいゾンビが邪魔しにくるところに笑ってしまう。
(エリザベスはリリー・ジェームズ、ダーシーはサム・ライリー、ウィカムはジャック・ヒューストン、リディアはエリー・バンバーが演じている。)
ベネット5人姉妹たちはみな中国武術を習得しているため、戦闘能力が高い(賢い人は中国で武術を習い、お金があって愚かな人は日本で習う、という設定には苦笑せざるをえなかった)。きょうだい喧嘩も壮絶である。
本作の19世紀英国ゾンビの面白いところは、ゾンビたちにも階級があるところで、慇懃なゾンビも一定数いる。
ひとつ気になったのは、ウィカムが聖ラザロ教会に半ゾンビ(豚の脳を食べさせることで進行を遅らせている)を集め、人間たちとの「共存」を考えているみたいなことを言っていたがあれは本気だったのだろうか。
というのも、今回もCovid-19のメタファーとして観たからそう思ったのだけど、共存のテーマが途中でうやむやになり、けっきょくゾンビたちから隔離することを選んだところ、ちょっともやもやした。
もし今この作品を作るとしたら「共存」のテーマをもっと本気で考えざるをえず、もっと違った内容になるはずだろう。
- 感想投稿日 : 2022年9月23日
- 読了日 : 2022年9月23日
- 本棚登録日 : 2022年9月23日
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