舞台はウクライナ・キエフ。短編を専門とするしがない小説家ヴィクトルは、動物園の閉鎖をきっかけにペンギンのミーシャを飼い始める。
そんなヴィクトルの元に死者の追悼記事を書く仕事が舞い込む。まだ生きている人たちの、さまざまなエピソードを元に、「死ぬ準備」をする奇妙な仕事。
そんな彼はギャングの「ペンギンでないミーシャ」の一人娘のソーニャを預かることになり、そして友人の警官・セルゲイの姪の二十歳のニーナをベビーシッターとして迎え、やがてより深い中になる。不思議な共同体の中で、彼の奇妙な仕事の核心へと近づいていく。憂鬱症で病気の治療をしたミーシャは南極に帰れることになったところで、不思議な形で本作は終わる。
淡々と、奇妙な世界に巻き込まれ、危険にも呼び寄せながら、現実がよくわからないままに、どんどん進んでいく世界。ウクライナという異国が舞台ですが、非現実的故の親近感がある。ペンギンのミーシャの存在がこの作品にシュールな魅力を与えています。
狭い家の中をペタペタと歩き回り、冷凍の魚を食べ、4歳のソーニャと交流し、犬に絡まれ、川沿いに遊びに行き、白黒という特徴からギャングの葬式に呼ばれるミーシャはなんだかちょっと笑える。確かにちょっと村上春樹氏の作品っぽいかも。面白かった。
(一応続編があるようですが、そちらは評判がいまいちで翻訳もされていないよう)
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
小説
- 感想投稿日 : 2021年2月14日
- 読了日 : 2021年2月12日
- 本棚登録日 : 2020年4月26日
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