脳を鍛えるには運動しかない! 最新科学でわかった脳細胞の増やし方

  • NHK出版 (2009年3月20日発売)
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タイトルはざっくりとしているが、内容は運動が脳に与える影響について、論文などで発表された知見をまとめたもので読みがいがある。
本書で主に取り上げられるのは散歩・ジョギングなどの有酸素運動であり、これらの運動には次のような利点がある。

・ストレスに強くなれる。日常のストレスは「予測できない」ストレスであるのに対して、運動は「予期された」ストレスであるため、後を引かず、それに耐えた心身は以前よりタフになっている。
・うつ状態を改善させる。うつ状態は脳内でセロトニンという化学物質が欠乏することによっておこるという定説があり、治療薬として主にSSRIというセロトニン量を維持する薬が用いられている。運動にはSSRIと同様な効果がある上、その他の化学物質に働きかけるため、治療薬と運動は相互補完的な役割を果たす。
・脳の記憶を定着させる部位である海馬が活性化される。具体的にはBDNFと呼ばれる新たなニューロンを発生させる役割を持つタンパク質を発生させるとされる。

その他、注意欠陥障害、妊娠、老化についても運動と絡んで触れられている。いずれにせよ、運動に対して好意的な文章であり(当たり前だが)、ジョギング等のモチベーション向上にもってこいの本である。
注意すべきは上述した効果の一例は継続した運動によって初めてもたらされるということである。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 脳科学
感想投稿日 : 2010年5月5日
読了日 : 2010年9月26日
本棚登録日 : 2010年5月5日

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