白洲正子さんの著書2冊目。
能、狂言に明るく、骨董の心得のあった随筆家。
様々な事に関し、美的な感覚とその繊細さを文章で表現されている随筆(エッセイ)である。
一般庶民であるワタクシにはとても感じ取れない些細な美を自然に感じている様子を読むと、生きていた世界のあまりの違いを感じざるを得ない。
『花を生ける時は、片手で花を持ち、もう一方の手で鋏を使うが、「遊び(二枚の刃を真中でとめている止め金)」の部分がきつすぎると鋏がひらきにくく、ゆるすぎると巧く噛み合わない。つまり、その止め金はいつも真中でふらふらしていないと、自由に動かないのである。...(中略)...ある時錆びたので、知合いの研屋さんに持って行くと、この花鋏だけは研ぐことが出来ない、「遊び」のところをはずすと元に戻らないからだと言った。鋏を作った職人も、断ることのできる職人も、両方とも偉いと私は思った。何でもないようなことだが、「遊び」が完全にできる人は、一人か二人しかいない。』(はさみのあそび)より
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2019年11月17日
- 読了日 : 2019年11月17日
- 本棚登録日 : 2019年11月17日
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