技術の道徳化: 事物の道徳性を理解し設計する (叢書・ウニベルシタス 1033)

  • 法政大学出版局 (2015年10月13日発売)
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感想 : 2

非常に面白かった。技術にも行為者性を帰属させようとする。
ただその際に技術を人間から独立したものとして扱うのではなく、人間を技術と不可分のものとして扱い、技術もまた人間と不可分のものとして扱い、両者がどのように媒介関係にあるかを分析するという方向性。
具体的な事例の検討というよりは、そのような分析の可能性と方向性を示すことに主眼が置かれているよう。
・人間と技術の関わりについて、ハイデガーの道具存在を批判的に継承、媒介という様式を見つける
・人間以外に倫理を帰属させることについて、スローターダイクのヒューマニズム批判を援用
・拘束がないという意味での自由ではなく、状況付けられた中でより善い生を追求するという形での自由を考えるためにフーコーを参照

技術自体を賛美するのでなく、技術自体を悪とするのでもなく、まず記述すること、それも規範的な議論を可能にするような形で記述するということを狙っている。
枠組みをつくることで、技術の影響やその道徳的位置を予想できるようになり、次はそこに民主主義的な議論のプロセスを入れたり、自由に関して制限を議論したりできるようになる、と。
展望としてポストヒューマンとトランスヒューマンの話も。

きちんと読み直す必要アリ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2015年11月9日
読了日 : 2015年11月9日
本棚登録日 : 2015年11月9日

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