エンブリオ 2 (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社 (2005年10月20日発売)
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感想 : 70
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 倫理を超えながらも、探究心、さらには冒険心で生殖医療に望む岸川。そのデーター、技術に巨額な金が動くことを見越しながらも、患者の要求に応えてこその医療といゆう信条が、この岸川医師を一刀両断に裁ききれないモヤモヤ感がある。
 患者にとっての最高の医者。その社会評価と背中合わせに感じるこのエグさはなんなんだろう。脳が未成熟で何ら判断の持たないエンブリオならば如何様にも手を下しても、堕胎してもかまわない、社会に未認知の空白の時間。人類のすべての子供が恵まれた環境で歓迎された状態で生まれてきてはいない事実はわかっていても、この空白時間にまで手をだすことは、やはり許されないと思う。
 医療がますますビジネス化し、人工子宮という技術もそう遠くない時代に生まれてくる気がする。あと10年後にこの本もう一度手にしてみたいと思う。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 医療ミステリー
感想投稿日 : 2013年3月17日
読了日 : 2013年3月7日
本棚登録日 : 2013年3月17日

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