蒲生邸事件 (文春文庫 み 17-3)

著者 :
  • 文藝春秋 (2000年10月6日発売)
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予備校受験のため宿泊していたホテルが火災になり、助けてもらったらなんと二二六事件の最中にタイムスリップしてしまった。という、SFのような不思議な話。
きちんと事実に沿った中、物語も巧妙に織り交ぜられている。宮部みゆきさんの時代ものは、いつも本当にすごい。どうやってここまで調べ抜いてるんだろう。
先を見通している、タイムスリップも出来る、だけどあえて困難が待ち受けている時代を生きると決めた時間旅行者、平井。
ふきを連れていきたかったけど彼女の意志をくみとり、一人で帰った孝史。
対称的な選択だったけど、二人に共通していたのは、懸命に生きるということ。
そしてそれは、二人だけではなく、蒲生邸でかかわり合った人びとが皆そうだったことをやがて孝史は知る。
宮部みゆきさんの時代ものは、いつの時代でも必ず懸命に生きる人びとが描かれている。
だから、他人とは思えない。時代が違っても、共感し、尊敬出来る。
壮大で読みごたえもあり。爽やかに感動出来る。
時代ものやSFものは、と構えなくても楽しめる作品。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2013年2月3日
読了日 : 2013年2月3日
本棚登録日 : 2013年2月3日

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