久しぶりに自分好みの本でした。
品行方正な教師であった優奈は
突然「辻斬りのように男遊びをしたいな」と思い、
7人の男と立て続けに寝る。
そうして生まれた娘が七竈である。
七竈は親友:雪風と共に
鉄道模型を愛しながら、
やがて異形とも言えるほど
美しいかんばせを持つ大人に成長し始める。
そのとき彼女は何を諦め、何を選び取るのか。
大人のための童話のよう。
淡々と語られる生真面目なナレーション。
洗練された丁寧な文体。
名言小説だと思います。
素敵。表紙も含めて。
雪風も七竈もとても控えめで
気付いていながらも言えない言葉が多い。
それが特に読者の心を揺さぶります。
きっとお互いに大好きで、
でも大好きだからこそ
お互いの気持ちが分かってしまうのでしょう。
言葉より多くを、視線や振る舞いで感じ取ってしまうのでしょう。
隠せない仲の隠し事は
もはや共犯者としかいえないですね。
離れても精神的に繋がっている、
双子のような2人でいて欲しいと願ってしまいます。
「わたしは美しいふたりが好きだったのよ。ばら売りしないで。
美しいふたりの先輩。
桂雪風と川村七竈、けして入っていけない、美しい舞台」
「きっと、尊敬してほしいのね。
異なる生き方をするわたしを。誰よりも、血を分けた娘に」
「永遠に失った、少年のことをです」
「母を許さないことだけが、わたしの純情です。雪風」
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
未設定
- 感想投稿日 : 2011年2月20日
- 読了日 : 2011年2月20日
- 本棚登録日 : 2011年2月20日
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