図書館で借りてきた本。
森氏のこの手の本は結構好きだ。
彼の書く本の構成は今まで読んできた中で言うと正直「ワンパターン」だ。映像としてのドキュメンタリーは見ていないのが残念だが、撮影対象とどう出会い、どう撮影し、その間にどう思い、物事を進めていくのか、考える過程が分かって面白い。おそらくわたしもカメラは抱えていないものの、対象物とどう出会って、どう向き合うか、と言うことを文章で書くとこうなるんだろうなあと思わせる。
この本を読んで思ったのは「超能力者」は差別されているということだ。テレビで「スゴイ」ともてはやされても、結局は「科学的に証明されない」ということになり、ウソつき呼ばわりされる。そういう意味ではものすごいテレビの被害者なのだが、なぜそれでもここに出て来た3人はこんなに優しいんだろう、と思う。
人が想像を絶することであればあるほど(例えば宇宙人と会ったとか)彼らは「テレビでは流さない方がいいよ」とか「しゃべりたくない」って言うんだよね。多分、これは周囲の人にいくらいっても信じてもらえなかった、という彼らの体験があって、それでそう言わせてしまうんだろうなあ、と思った。と同時に一方では「超能力者」と讃えながら、その実番組を作っている人はそれを「本物」とは認めない。認めると視聴者からの苦情の電話がかかってくるからだ。
もちろんそれが真実かどうかはわたしも見たわけじゃないから分からないし、もし見たとしても(この著者のように)信じられない」かも知れない。
「想像を絶する」ということを認めたくない人間がいる。おそらくわたしもそのうちの一人だろうし、そしてまた森氏も同じだ。だが、彼の書く文章から、彼が「信じるか信じないかは曖昧の間までいい」という結論を出しながらも、わたしは少し「信じてもいいんじゃないかな」と思い始めている。。
それは多分、森氏が「信じていないですよ」と言ったあと、自分自身呆然とした、ということとおそらく似ているのではないかと思う。もしかしたら心では9分9厘信じている、のかも知れない。が、どうしても「信じている」とは言えない。そんな状態なんだろう。
とにかくここに登場してくる3人の超能力者は、とても魅力のある人物だった。幸せになると超能力は鈍くなるそうだが、わたしは彼らの今後の幸せを願っている。
- 感想投稿日 : 2014年2月14日
- 読了日 : 2010年1月7日
- 本棚登録日 : 2014年2月14日
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