時計のイラストがはいっているのがとても可愛い印象です。
作品は非常にシリアスです。
マリという19歳の少女の24時間を描いた小説なのですが、主人公を軸に、美しい姉、姉の同級生、中国人の女、元プロレスラー、エリートサラリーマンなど様々な人物がからみあって展開していきます。
主人公はマリと書きましたが、正確には主人公マリと高橋の2人が
主人公になるでしょうか。
24時間という時間の中でファミレスからラブホ、ビジネスビル、
生活空間と舞台がコロコロと変わっていきます。登場人物は連日TVで放送されている現代をそのまま切り取ったような人達。
妙な現実感がありますが、こうして小説として読んでいると、
取材されている「彼ら」の実在が懐疑的な影を帯びていきます。
この物語は、どこで進行しているのだろうかというような。
そんなあやふやで不可思議な印象、でもそれがすごくリアルなんです。
マリとエリの2人の見えない視線の絡み合いも、作品に緊張感を
与えている気がします。高橋が2人の関係の解決者というか、仲介者のような役目を果たして、2人の個性がはっきりと浮かび上がってきます。美しい2人なだけに非常に迫力があって、みどころになっていると思います。
個人的にはマリに感情移入してしまうのですが、
マリもエリも、どちらも好きになりました。
でも私もマリほど優秀じゃないですが…。
男性が非常に怖い存在に映ります。
曲折を経て、マリと美しい姉、エリが迎えるラストシーンが印象的でした
- 感想投稿日 : 2012年5月31日
- 読了日 : 2006年12月9日
- 本棚登録日 : 2012年5月31日
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