使いみちのない風景 (中公文庫 む 4-4)

著者 :
  • 中央公論新社 (1998年8月18日発売)
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感想 : 136
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作家・村上春樹の旅的なものに関するエッセイ3つと、写真家・稲越功一の写真のコラボ作品、という体の文庫本でしょうか。めちゃんこサクッと読めます。すげえサクサク。一瞬でした。

で、おもろいかどうか、といいますと。うーん。それなり?という感じでしょうか。村上さんのエッセイは、いつものエッセイでの村上節全開、という感じで大満足、ですが、稲越さんの写真は、正直、良いのか良くないのか、全然わかりませんでした。なんといいますか、うん。わからん。良い写真、なのだろうなあ。なんせプロの写真家のかたですもの。でも、うーん。すまん。俺には、良さ、わからん。という、凄くこう、、、失礼な感想で、、、稲越さん、すみません。

あ、でも、村上さん言うところの「使いみちのない風景」の写真だなあ、というのは、バンバン感じました。この写真、、、何が言いたいの?意味わからんねえ。使いみちあるの?ないよね。あ、だからこの題名なんだ?という感じで。これ、全然、褒めてませんね。ホンマにすみません。

あ、でも、本の表紙にもなってる写真は、なんだか、凄く好きなんですよ。シュールで。海岸に、椅子?だか、キャンバス?だか、なんかよお分からん物体が、置かれている写真。ぽつねんとしてて、好きです。ちょっと方向性は違うと思うんですが、プログレッシブ・ロックバンドとして超有名なピンク・フロイドのアルバム「A Momentary Lapse of Reason(邦題は『鬱』。なぜこの邦題?謎ですね)」のジャケットを連想しました。連想要素、海岸、ってだけ?って気もしますが。

村上さんのエッセイは、旅?に関するエッセイ、と言えばいいのでしょうか。でも、村上さん自身が、たまたま雑誌で自分の略歴を読んだときに「(村上春樹の)趣味は旅行をすること」と書かれていたことに対して「俺がしてることって、、、旅行?」と自問自答し、いや旅行ちゃうで、って思ったことから始まる、みたいな、旅エッセイなのに旅否定、みたいなノリが、おもろいです。

僕が好きなのは、「旅」ではなくて、「住み移り」とでも言うべき行為なんだよ、というポイントは、言い得て妙!と思って、なるほどなあ!ってメカラウロコでした。こうした村上さんの、物事に対する考察の角度、凄く好きです。

あと、こうした「住み移り」のなかから、「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」が生まれ、「ノルウェイの森」も生まれた、と考えると、やっぱ村上春樹スゲえ、って、感服するしかない。「住み移り」凄い。というか村上春樹が凄い。やっぱ個人やね、って事か?

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2020年4月23日
読了日 : 2020年4月23日
本棚登録日 : 2020年4月23日

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