即戦力は3年もたない 組織を強くする採用と人事 (角川oneテーマ21 C 196)

著者 :
  • 角川書店(角川グループパブリッシング) (2010年12月10日発売)
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久しぶりに人事・採用に関する本を読んだ気がします。

即戦力を求めて採用や人事を行う風潮を批判し、組織にとって本当に必要な人事のありかた、採用のありかたを述べています。
自組織に最も適切な人事制度・採用方法は何かということは、簡単に答えが出るものではありません。著者も述べているように、完璧な採用などはありえません。
とはいえ、漫然と前例踏襲するだけでは、変化の時代に生き残れるはずもないのは事実です。

採用のあり方、面接のポイント、管理職の責務などいろいろな面で参考になる記述が多かったと思います。


採用=「将来の業績アップ」のための投資活動
    採用活動が結果的に業性器の向上に結びついているか考え、検証する

採用と教育のどちらが重要か
・大企業は「教育」→総じて基礎能力が高く、バランスの良い人材が入社し、入社後の教育によって差がつくように見える。職場環境、仕事の種類の豊富さ
・中小企業は「採用」→入社後の育成力が劣るため、採用時の差が業績・評価に直結しやすい

仕事を通じてどの程度成長したいと思っているか
・「のぞみ号タイプ」:最速スピードの成長を望む。社内には10%
・「ひかり号タイプ」:頑張りたいと思うが、周りの環境に左右される。80%
・「こだま号タイプ」:無理をしない 10%
組織を率いて成果を上げることがミッションとなる上司の仕事は、それぞれのタイプに対する多様なケアに尽きる

部下育成のPDCAサイクル
P(目標を与える)→DO(実行する)→C(教訓を引き出す)→A(次に活かす)

面接官には、部下よりも能力が高く、かつ部下の能力開発に意欲的で、そのために部下を理解しようという器の大きな上司が向いている
①向上心が高い人
②冷静で客観的な人
③人の話をじっくり聞ける、忍耐力のある人

面接で優秀な人材かどうか判断するポイント
①性格の素直さ→客観的な評価で自分を語ってもらう
②思考のやわらかさ→環境の変化に慣れているか、理不尽な経験、我慢強く辛抱した経験をどれだけしてきたか
③情熱(ハート)→情熱が具体的な行動に結びついているか
※高度成長期→「素直で明るい」「学歴(偏差値)」「面接官の好み」
最低でも三度にわけて面接し、四段階評価を行う

新卒採用の現場では、女性の評価が優位→女性のほうが「目標達成意欲
が高く、就職活動に対する集中力が高い

これからの時代においては「資格」「ノウハウ」「経験」の価値が低下
IT技術の進展・顧客ニーズの変化→一部の技術的な分野を除き、あらゆる職種の専門性が価値を下げている

ヒューマンスキル→他者との関わりの中で円滑に仕事を進めるために必要な関係構築に関わるスキル、コミュニケーションスキル
コンセプチュアルスキル→論理的思考+高い顧客志向+高い経営目線で物事を俯瞰する概念的思考力

若手が苦手とするヒューマンスキル
①相手の目線に立つこと:協働の経験不足が原因
②社会性がないこと:家庭のしつけ+仕事とは「やるべき」こととして考えるべきということを教え込む

<この本で得られた気づきとアクション>
・面接のポイントは参考になった。試してみたい。
・ヒューマンスキルとコンセプチュアルスキルの重要性は、以前より言われているが、なかなか決定的な手法が見当たらない。個人的には、コミュニケーションスキルを向上させることで、良循環の影響力を発揮できるといいのだが。

<目次>
第1章 「即戦力」幻想が会社を潰す!
第2章 人材の“見える化”が人事を成長戦略にする
第3章 「伸びる即戦力」はこうして見抜く
第4章 組織を強くする「ワーク・ライフ・バランス」
第5章 人材市場の二〇一〇年代を勝ち抜けるか

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2012年11月7日
読了日 : 2012年11月6日
本棚登録日 : 2012年10月20日

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