ずっと読みたかった作品
良かった!!
1973年大阪の廃墟ビルで、
質屋をしている桐原洋介という男が殺され
発見された…
捜査線上に浮かんできたのは、西本文代という女性
結局事件としては迷宮入りするが、このふたりには、それぞれ子どもがいて
「被害者の息子」と「容疑者の娘」を背負って生きていく彼らの辛い半生を描く作品です
ふたりに関わった周囲には
いくつもの犯罪が続き、そして彼らの姿が見え隠れするのだが…
二人はその後、全く別々の道を歩んでいて、二人の関わりは掴めないし、またそれらの犯罪には、なんの証拠も無く謎のままだったのだが…。
伏線が幾重にも張り巡らされた緻密なストーリー展開が面白く、長編ながらあっという間に引き込まれ、読み進められた…
幼いときの事件から…ふたりには決して
明るい昼の光は当たらない毎日が続いていく
し、白夜のように曖昧なうす暗い光が
二人の行く道をただ照らすだけのよう…。
二人の生きていく道は、とてつもなく
おぞましく重苦しく続いていくばかり。
まさに、タイトルのような世界観…
この作品は亮司と雪穂の心理描写が
一切描かれてなくて、彼らを取り巻く人間たちの視点を通してのみ描写されるのが特徴的
唯一といえる心理描写は白夜について語っているところがそれぞれほんの少しだけ出てきて印象深く心に響く…
「あたしの上には太陽なんか無かった。
いつも夜。でも暗くは無かった。太陽に代わるものがあったから。」
二人は不遇な幼少期でそれぞれ、
あまり笑顔のない子供だった…
そしてそれは彼らの境遇が、親たちが、
なんといってもはじめに
いちばん悪かったんだな…!と
私は強く思ってしまうし、幼少期の辛い体験は、ふたりの子供の心を壊し、それからの生き方に強い影響を及ぼしたんだなぁ…と、
たまらない気持ちになってましたね…
読んでいてずっと…!!
TVドラマの方も観てみました…
続編的な作品「幻夜」も読む予定です…!
- 感想投稿日 : 2024年4月14日
- 読了日 : 2024年4月11日
- 本棚登録日 : 2024年4月11日
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